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February 17, 2005 Vol. 352 No. 7

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硬膜外・脊椎麻酔を分娩の初期に行う場合と後期に行う場合の帝王切開のリスクの比較
The Risk of Cesarean Delivery with Neuraxial Analgesia Given Early versus Late in Labor

C.A. Wong and Others

背景

硬膜外麻酔を分娩初期(子宮頸管の開大が 4.0 cm 未満)に開始することは,帝王切開のリスクの増大と関連している.しかし,このリスクの増大が硬膜外麻酔によるものなのか,他の要因に起因するものなのかは明らかではない.

方 法

満期産で,自然陣痛が発来するか自然破水し,子宮頸管の開大が 4.0 cm 未満の未経産女性 750 例を対象に無作為試験を行った.被験者は,最初の麻酔依頼時に,フェンタニルを脊椎のくも膜下腔に投与する群,またはヒドロモルホンを全身投与する群のいずれかに無作為に割付けた.硬膜外麻酔は,脊椎麻酔群では 2 回目の麻酔依頼時に,全身麻酔群では子宮頸管の開大が 4.0 cm 以上になった場合または 3 回目の麻酔依頼時に開始した.主要転帰は帝王切開率とした.

結 果

帝王切開率に 2 群間で有意差はみられなかった(脊椎麻酔群 17.8% 対 全身麻酔群20.7%,差に関する 95%信頼区間 -9.0~3.0 パーセントポイント,P=0.31).麻酔開始から子宮頸管の完全開大までの時間の中央値は,脊椎麻酔後のほうが全身麻酔後よりも有意に短く(295 分 対 385 分,P<0.001),また,経腟分娩までの時間の中央値も短かった(398 分 対 479 分,P<0.001).初回介入後の疼痛スコアは,脊椎麻酔後のほうが全身麻酔後よりも有意に低かった(0~10 段階の評価で 2 対 6,P<0.001).1 分後アプガースコアが 7 以下である割合は,全身麻酔後のほうが有意に高かった(24.0% 対 16.7%,P=0.01).

結 論

分娩初期の硬膜外・脊椎麻酔により,帝王切開率が上昇することはなかった.また,全身麻酔よりも良好な疼痛緩和が得られ,結果として分娩時間が短縮された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 655 - 65. )