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July 7, 2005 Vol. 353 No. 1

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重症呼吸不全の早産新生児に対する一酸化窒素吸入療法
Inhaled Nitric Oxide for Premature Infants with Severe Respiratory Failure

K.P. Van Meurs and Others

背景

一酸化窒素吸入は,重症呼吸不全の早産新生児に対する治療であるが,この治療法については議論がある.多施設共同無作為盲検対照試験を実施し,そのような早産新生児に一酸化窒素吸入療法を行うことによって,死亡ないし気管支肺異形成症の発生率が低下するかどうかを検討した.

方 法

妊娠 34 週未満,出生体重 401~1,500 g で生まれ,サーファクタント治療後 4 時間以上にわたり呼吸不全を呈する新生児 420 例を,プラセボ群(模擬ガス流)または一酸化窒素吸入群(5~10 ppm)のいずれかに無作為に割付けた.反応を示した患児(動脈血酸素分圧 10 mmHg 超の増加)では,プロトコールに従って試験ガスの濃度を徐々に減らした.反応を示さない患児では,試験ガスによる治療を中止した.

結 果

死亡ないし気管支肺異形成症の発生率は,一酸化窒素群で 80%,プラセボ群で 82%であり(相対リスク 0.97,95%信頼区間 0.86~1.06,P=0.52),気管支肺異形成症の発生率はそれぞれ 60%と 68%であった(相対リスク 0.90,95%信頼区間 0.75~1.08,P=0.26).重度の頭蓋内出血や脳室周囲白質軟化症の発生率に有意差は認められなかった.事後解析により,一酸化窒素吸入療法を受けた患児では,出生体重が 1,000 g 超の場合死亡ないし気管支肺異形成症の発生率が低下するのに対し,体重 1,000 g 以下の場合は死亡率がより高く,重度の頭蓋内出血の発生率が上昇することが示唆された.

結 論

体重が 1,500 g 未満の重症の早産新生児においては,一酸化窒素吸入療法を実施しても,死亡ないし気管支肺異形成症の発生率は低下しなかった.出生体重 1,000 g 以上の患児で一酸化窒素吸入が有益であるかどうかを決定するには,さらに試験を行う必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 13 - 22. )