一酸化窒素吸入療法を受けた早産児における神経発達の転帰
Neurodevelopmental Outcomes of Premature Infants Treated with Inhaled Nitric Oxide
K.K.L. Mestan and Others
早産児の慢性肺疾患,重度の脳室内出血あるいは脳室周囲白質軟化症は,神経発達の異常と関連する.呼吸窮迫症候群の早産児を対象とした,先行する単一施設無作為対照試験では,一酸化窒素吸入療法により死亡ないし慢性肺疾患のリスクが低下し,重度の脳室内出血と脳室周囲白質軟化症のリスクも低下することが示された.一酸化窒素吸入療法を受けた乳児は,神経発達の転帰も改善するという仮説を立てた.
一酸化窒素吸入またはプラセボ吸入を受けた早産児を対象に,前向き長期追跡研究を行い,調整年齢 2 歳時の神経発達の転帰を調査した.神経学的検査,神経発達評価,および身体計測は,最初の治療割付けを知らされていない検査者が行った.
計 138 例の小児(生存者の 82%)を評価した.神経発達に異常がみられたのは,一酸化窒素吸入群では 70 例中 17 例(24%)であったのに対し,プラセボ群では 68 例中 31 例(46%)であった(相対リスク 0.53,95%信頼区間 0.33~0.87,P=0.01).神経発達の異常は,障害(脳性麻痺,両眼の失明,両側聴覚障害)または発達遅延(障害はないが,ベイリー乳幼児発達検査 2 [Bayley Scales of Infant Development II] でスコアが 70 未満のものが 1 項目ある)のいずれかを有することと定義した.この結果は,出生時体重,性別,および慢性肺疾患,重度の脳室内出血,脳室周囲白質軟化症の有無で補正後も変化しなかった.一酸化窒素吸入群でみられた神経発達の転帰の改善は,主に認知機能障害(ベイリー精神発達指数 [Bayley Mental Developmental Index] のスコアが 70 未満と定義)のリスクが 47%減少したことに起因するものであった(P=0.03).
一酸化窒素吸入療法を受けた早産児で,2 歳の時点での神経発達の転帰が改善した.