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August 4, 2005 Vol. 353 No. 5

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交代勤務睡眠障害による過度の眠気に対するモダフィニル
Modafinil for Excessive Sleepiness Associated with Shift-Work Sleep Disorder

C.A. Czeisler and Others

背景

交代勤務睡眠障害の患者は,夜勤中に慢性的に過度の眠気があり,日中に眠ろうとすると眠れない.この障害を有する患者の眠気の治療において,モダフィニル(modafinil)の使用を評価した.

方 法

3 ヵ月の二重盲検試験で,交代勤務睡眠障害患者 209 例を,各シフトの開始前に 200 mg のモダフィニルまたはプラセボのいずれかを投与する群に無作為に割付けた.評価には,夜間の睡眠潜時反復検査(Multiple Sleep Latency Test),眠気の程度の変化に対する全般印象評価(Clinical Global Impression of Change),精神運動覚醒検査(Psychomotor Vigilance Test),患者の日記,日中の睡眠ポリグラフ検査を使用した.無作為割付け後,月 1 回評価を行った.

結 果

モダフィニル群では,プラセボ群と比べて平均(±SEM)夜間睡眠潜時(入眠を試みた時刻から睡眠開始までの間隔)がベースライン時から適度に改善しており(1.7±0.4 分 対 0.3±0.3 分,P=0.002),臨床症状が改善した患者が多かった(74% 対 36%,P<0.001).モダフィニル群では,プラセボ群に比べ,精神運動覚醒検査の夜間作業能力テスト中に注意力が低下した頻度と時間が減少し(ベースライン時からの変化は,注意の低下した頻度がモダフィニル群で 2.6 回減少したのに対し,プラセボ群では 3.6 回増加,P<0.001),それに比例して,帰宅途中に事故を起したり,起しそうになったりしたと報告した患者数も少なかった(29% 対 54%,P<0.001).これらの効果にもかかわらず,モダフィニル群では過度の眠気が発現し続け,夜間の作業能力が低下した.モダフィニルは,プラセボと比較して,日中の睡眠に悪影響を及ぼすことはなかった.有害事象として頭痛がもっともよくみられた.

結 論

200 mg のモダフィニルによる治療で,プラセボと比較して,交代勤務睡眠障害患者にみられた極度の眠気が減り,作業能力がわずかではあるが有意に改善した.しかし,治療を受けた患者に眠気が残ったことから,より効果的な介入方法を開発する必要性が強く示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 476 - 86. )