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August 18, 2005 Vol. 353 No. 7

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急性心筋梗塞の管理における性差と人種差,1994~2002 年
Sex and Racial Differences in the Management of Acute Myocardial Infarction, 1994 through 2002

V. Vaccarino and Others

背景

心筋梗塞の管理における性差と人種差に対して注目が高まっているが,これらの差異が時間と共に縮小したかどうかは明らかにされていない.

方 法

全米心筋梗塞登録(National Registry of Myocardial Infarction)のデータを用い,1994~2002 年のあいだに心筋梗塞のため入院した患者 598,911 例を対象に,特定の治療法に対する「理想的な候補者」と見なされた患者の治療および死亡について,性差と人種差を検討した.

結 果

未補正の解析では,再灌流療法の実施(白人男性,白人女性,黒人男性,黒人女性について,それぞれ 86.5%,83.3%,80.4%,77.8%;P<0.001),アスピリンの使用(それぞれ 84.4%,78.7%,83.7%,78.4%;P<0.001),β 遮断薬の使用(66.6%,62.9%,67.8%,64.5%;P<0.001),冠動脈造影の実施(69.1%,55.9%,64.0%,55.0%;P<0.001)で,性差と人種差が認められた.多変量補正後,人種差と性差は,再灌流療法(白人男性と比較した場合の白人女性,黒人男性,黒人女性のリスク比は,それぞれ 0.97,0.91,0.89)および冠動脈造影(相対リスク,0.91,0.82,0.76)で依然として認められたが,アスピリンの使用(リスク比 0.97,0.98,0.94)および β 遮断薬の使用(リスク比 0.98,1.00,0.96)では差が小さくなった.すべてのリスクは,この間変化が認められなかった.補正後の院内死亡率は,白人男性と比べて,白人女性(リスク比 1.05,95%信頼区間 1.03~1.07)と黒人男性(リスク比 0.95,95%信頼区間 0.89~1.00)では類似していたが,黒人女性では高く(リスク比 1.11,95%信頼区間 1.06~1.16),この間変化は認められなかった.

結 論

心筋梗塞後の再灌流療法と冠動脈造影の実施および院内死亡率には,人種差と性差が認められるが,アスピリンの使用と β 遮断薬の使用には差が認められない.また,この差が近年縮小したという証拠は認められなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 671 - 82. )