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August 18, 2005 Vol. 353 No. 7

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メディケアのマネジドケアにおけるケアの質と人種格差の傾向
Trends in the Quality of Care and Racial Disparities in Medicare Managed Care

A.N. Trivedi and Others

背景

1997 年以来,メディケアが運営するすべてのマネジドケアプランは,ケアの質について,医療保険・雇用者データ・インフォメーションセット(Health Plan Employer Data and Information Set;HEDIS)で評価を行ってきた.初期のデータから,黒人のほうが白人よりも質の低いケアを受けていたことが明らかになった.この研究では,全般的なケアの質の経時的変化と,臨床実績に関する 9 つの評価項目における人種格差の程度の経時的変化を評価した.

方 法

ケアの質を比較するために,メディケアのマネジドケアプランに登録され,HEDIS の 9 つの評価項目のうち少なくとも 1 つに適格な白人と黒人の高齢受給者を対象に,1997~2003 年の 183 の医療保険から得た 180 万例の個人レベルの観察結果を分析した.各評価項目別に,受給者の年齢,性別,医療保険の種類,メディケイドの資格があるかどうか,および居住地域に基づく社会経済的地位で調整した多変量モデルを用いて,人種格差の程度が時間と共に変化したかどうかを評価した.

結 果

7 年の調査期間中,白人登録者,黒人登録者ともに,すべての評価項目において臨床実績が改善した(P<0.001).白人受給者と黒人受給者の格差は,7 つの HEDIS 項目で縮小した(P<0.01).しかし,人種格差は,糖尿病患者の血糖管理(4%から 7%に増加,P<0.001),心血管疾患患者のコレステロール管理(14%から 17%に増加,変化は有意でない,P=0.72)については縮小していなかった.

結 論

マネジドケアプランにおいて,高齢メディケア受給者に対するケアの質を評価したところ,1997~2003 年にかけて大きく改善していた.人種格差は,調査した HEDIS の評価項目において,すべてではないがそのほとんどで縮小した.今後の研究では,一部の評価項目で人種格差の改善に寄与した要因を検討し,依然としてなくならないケアの質の差を解消するための介入法に重点的に取り組む必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 692 - 700. )