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September 8, 2005 Vol. 353 No. 10

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好中球減少を伴う癌患者における細菌感染予防のためのレボフロキサシン
Levofloxacin to Prevent Bacterial Infection in Patients with Cancer and Neutropenia

G. Bucaneve and Others

背景

好中球減少を伴う癌患者に対する予防的なフルオロキノロン投与には議論があり,推奨される介入ではない.

方 法

化学療法による好中球減少(好中球数 <1,000/mm3)が 7 日以上持続すると予測された連続した成人癌患者 760 例を,化学療法の開始時から好中球減少が消散するまでのあいだ,レボフロキサシン(500 mg/日)またはプラセボのいずれかを経口投与する群に無作為に割付けた.基礎疾患(急性白血病か固形腫瘍またはリンパ腫)に従って患者を層別した.

結 果

intention-to-treat 解析で,好中球減少期間中に発熱がみられたのは,レボフロキサシンの予防的投与患者で 65%であったのに対し,プラセボ投与患者では 85%であった(375 例中 243 例 対 363 例中 308 例,相対リスク 0.76,リスクの絶対差 -20%,95%信頼区間 -26~-14%,P=0.001).レボフロキサシン群では,微生物学的に確認された感染(リスクの絶対差 -17%,95%信頼区間 -24~-10%,P<0.001),菌血症(リスクの差 -16%,95%信頼区間 -22~-9%,P<0.001),単剤耐性のグラム陰性菌血症(リスクの差 -7%,95%信頼区間 -10~-2%,P<0.01)の割合が,プラセボ群に比べて低かった.死亡率と忍容性は 2 群で同程度であった.また,予防的投与の効果は,急性白血病患者と,固形腫瘍ないしリンパ腫の患者で同程度であった.

結 論

レボフロキサシンによる予防的治療は,好中球減少が深刻かつ持続する癌患者において,発熱やその他の細菌感染に関連した転帰を予防するうえで,有効かつ忍容性の高い方法である.この介入による,この集団の微生物薬剤耐性への長期的影響については明らかではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 977 - 87. )