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September 8, 2005 Vol. 353 No. 10

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固形腫瘍およびリンパ腫に対する化学療法後の抗菌薬の予防的投与
Antibacterial Prophylaxis after Chemotherapy for Solid Tumors and Lymphomas

M. Cullen and Others

背景

化学療法後に行う抗菌薬の予防的投与の役割については,依然として議論がある.

方 法

固形腫瘍あるいはリンパ腫に対して周期的に化学療法を受けている患者で,一過性の重度好中球減少症(好中球数 <500/mm3)のリスクがある患者を対象に,無作為二重盲検プラセボ対照試験を実施した.患者を,好中球減少が予想される 7 日間,レボフロキサシン 500 mg またはプラセボを 1 日 1 回投与する群に無作為に割付けた.主要転帰は,臨床的に記録された感染に起因する発熱(体温 >38℃)の発生率とした.副次的転帰は,感染症と推定されるすべての症状,重症感染症,入院の発生率とし,抗菌薬耐性の系統的評価は行わなかった.

結 果

計 1,565 例を無作為化した(プラセボ群 784 例,レボフロキサシン群 781 例).腫瘍は,乳癌(35.4%),肺癌(22.5%),精巣癌(14.4%),リンパ腫(12.8%)であった.化学療法の初回サイクル中,少なくとも 1 回発熱がみられたのは,レボフロキサシン群患者で 3.5%であったのに対し,プラセボ群患者では 7.9%であった(P<0.001).化学療法コースの全期間に少なくとも 1 回発熱がみられたのは,レボフロキサシン群患者で 10.8%であったのに対し,プラセボ群患者では 15.2%であった(P=0.01).感染症と推定される症状の割合は,それぞれ 34.2%と 41.5%であった(P=0.004).感染症治療のために入院を必要としたのは,レボフロキサシン群患者の 15.7%とプラセボ群患者の 21.6%であった(P=0.004).重症感染症の割合はそれぞれ 1.0%と 2.0%であり(P=0.15),両群とも感染に関連した死亡が 4 例あった.感染症と推定される症状の 9.2%で菌が分離された.

結 論

固形腫瘍またはリンパ腫に対する化学療法を受けている患者では,レボフロキサシンの予防的投与により,発熱,感染症と推定される症状,入院の発生率が減少する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 988 - 98. )