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April 13, 2006 Vol. 354 No. 15

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喘息の急性増悪に対するテリスロマイシンの効果
The Effect of Telithromycin in Acute Exacerbations of Asthma

S.L. Johnston and Others

背景

喘息の急性増悪患者に対するテリスロマイシンの有効性を評価するため,二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.

方 法

喘息と診断された成人 278 例を,短期治療を必要とする急性増悪から 24 時間以内に登録した.患者を,通常治療に加えて,10 日間のテリスロマイシン経口投与(800 mg/日)またはプラセボ投与のいずれかに無作為に割付けた.有効性の主要エンドポイントは,治療期間中の,症状(患者自身による記録)と自宅で測定する朝の最大呼気流量のベースラインからの変化とした.血清反応検査,ポリメラーゼ連鎖反応法,培養検査で Chlamydophila pneumoniaeMycoplasma pneumoniae の有無を確認した.

結 果

事前に規定した 2 つの主要転帰のうち,喘息症状のみが,テリスロマイシン投与患者でプラセボ投与患者よりも有意に大きな減少を示した.喘息症状テスト(0:症状なし,6:重度の症状の 7 段階)でのスコアの平均(±SD)は,テリスロマイシン投与群では,ベースライン時に 3.0±1.4,投与終了時に 1.7±1.1,プラセボ群では,ベースライン時に 2.8±1.3,投与終了時に 2.0±1.0 であった.投与期間中の症状スコアの低下は,平均で,テリスロマイシン群で 1.3,プラセボ群で 1.0 であった(差の平均 -0.3,95%信頼区間 -0.5~-0.1,P=0.004).もう 1 つの主要転帰評価項目である朝の最大呼気流量の変化については,有意な治療効果はみられなかった.悪心がテリスロマイシン群でプラセボ群よりも多く発生した(P=0.01).患者の 61%で C. pneumoniaeM. pneumoniae への単独感染または重複感染が確認されたが,細菌感染の有無と喘息治療への反応とのあいだに関連はみられなかった.

結 論

この研究により,喘息の急性増悪患者においてテリスロマイシンの有益性を示す証拠が得られたが,その機序は依然不明である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00273520)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1589 - 600. )