April 20, 2006 Vol. 354 No. 16
小児救急部における胃腸炎に対する経口オンダンセトロン
Oral Ondansetron for Gastroenteritis in a Pediatric Emergency Department
S.B. Freedman and Others
胃腸炎の小児では,嘔吐により経口補液が成功しない場合がある.制吐剤のオンダンセトロンを単回経口投与することで,胃腸炎の小児の転帰が改善するかどうかを検討するために,二重盲検試験を実施した.
胃腸炎と脱水のため小児救急部で治療を受けた生後 6 ヵ月~10 歳の小児,215 例を登録した.オンダンセトロンまたはプラセボの口腔内崩壊錠による治療に無作為に割付けたあと,標準プロトコールに従って,経口補液療法を実施した.主要転帰は,経口補液療法中に嘔吐した小児の割合とした.副次的転帰は,嘔吐回数と,経静脈的補液療法を受けたか入院した小児の割合とした.
プラセボ群の小児と比較して,オンダンセトロン群の小児では嘔吐する可能性が低く(14% 対 35%,相対リスク 0.40,95%信頼区間 0.26~0.61),嘔吐回数が少なかった(小児 1 人当りの平均嘔吐回数,0.18 対 0.65;P<0.001).また,経口摂水量が多く(239 mL 対 196 mL,P=0.001),経静脈的補液療法を受ける可能性が低かった(14% 対 31%,相対リスク 0.46,95%信頼区間 0.26~0.79).救急部の平均滞在時間は,プラセボ群と比較してオンダンセトロン群で 12%短かったが(P=0.02),入院の割合(それぞれ 4%と 5%,P=1.00)と救急部を再受診する割合(19%と 22%,P=0.73)には,両群間で有意差はなかった.
胃腸炎と脱水を呈する小児において,オンダンセトロンの単回経口投与により,嘔吐が減り,経口補液が促進される.したがって,この治療法は救急部での利用に適していると考えられる.