永続的な小児聴覚障害の早期発見後の言語能力
Language Ability after Early Detection of Permanent Childhood Hearing Impairment
C.R. Kennedy and Others
永続的な両側聴覚障害のある小児は,言語能力と発話能力に障害を有することが多い.しかし,全新生児を対象に永続的な小児両側聴覚障害のスクリーニングを行うことの効果と,生後 9 ヵ月までに聴覚障害が確認されることによるその後の言語能力への影響については,明らかにされていない.
南イングランドの大規模な出生コホートから,永続的な両側聴覚障害の小児 120 例を同定し,平均年齢 7.9 歳の時点で調査した.120 例のうち,61 例は全新生児を対象としたスクリーニング期間中に出生した.また,57 例では生後 9 ヵ月までに聴覚障害が確認された.主要転帰は,非言語能力と比較した言語能力および発話能力を,Z スコアで表したもの(年齢をマッチさせた正常聴覚の小児 63 人の平均スコアからの標準偏差値)とし,聴覚障害の重症度と母親の教育レベルについて調整した.
生後 9 ヵ月までに聴覚障害が確認された場合,言語能力についての調整 Z スコアの平均は,非言語能力と比較して高かった(調整後の受容言語能力の平均差 0.82,95%信頼区間 0.31~1.33;調整後の表出言語能力の平均差 0.70,95%信頼区間 0.13~1.26).全新生児を対象にしたスクリーニング期間中に出生した場合も,受容言語能力の調整 Z スコアの平均は非言語能力と比較して高かったが(調整後の平均差 0.60,95%信頼区間 0.07~1.13),表出言語能力の Z スコアは非言語能力と比較して有意に高くはなかった.新生児スクリーニングを受けた小児や障害が早期に確認された小児と,これらに該当しない小児とのあいだで,発話スコアに有意差はみられなかった.
小児の聴覚障害が早期発見された場合,小児期中期の言語スコアはより高くなったが,発話スコアは高くはなかった.