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May 25, 2006 Vol. 354 No. 21

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壊死性腸炎と穿孔に対する開腹術と腹膜ドレナージの比較
Laparotomy versus Peritoneal Drainage for Necrotizing Enterocolitis and Perforation

R.L. Moss and Others

背景

穿孔を伴う壊死性腸炎は,未熟児における障害と死亡の主な原因であるが,至適治療は不明である.この多施設共同無作為化試験は,穿孔を伴う壊死性腸炎を発症した早期産児において,初回腹膜ドレナージと開腹腸切除の転帰を比較する目的でデザインされた.

方 法

15 ヵ所の小児医療センターにおいて,出生時体重が 1,500 g 未満で,穿孔を伴う壊死性腸炎を発症した早期産児(在胎 34 週未満で出生)117 例を,初回腹膜ドレナージ施行群または腸切除を行う開腹術施行群のいずれかに無作為に割付けた.術後の治療は標準化した.主要転帰は術後 90 日目の生存率とした.副次的転帰は,術後 90 日目の時点での静脈栄養への依存率や入院期間などとした.

結 果

術後 90 日の時点で,初回腹膜ドレナージ群の乳児 55 例中 19 例(34.5%)と,開腹群の乳児 62 例中 22 例(35.5%)が死亡した(P=0.92).完全静脈栄養に依存していた乳児の割合は,腹膜ドレナージ群では 36 例中 17 例(47.2%),開腹群では 40 例中 16 例(40.0%)であった(P=0.53).術後 90 日目に生存していた乳児 76 例の入院期間の平均(±SD)は,初回腹膜ドレナージ群と開腹群で同等であった(それぞれ 126±58 日,116±56 日;P=0.43).広範な壊死性腸炎(腸壁気腫)を示す X 線所見,在胎齢 25 週未満,受診時の血清 pH 7.30 未満で層別化したサブグループ解析では,いずれのグループにおいても,いずれか一方の治療の有意な優位性は示されなかった.

結 論

早期産児において,穿孔を伴う壊死性腸炎に対する手術法は,生存率およびその他の臨床的に重要な早期転帰に影響を及ぼすことはない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00252681)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 2225 - 34. )