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June 8, 2006 Vol. 354 No. 23

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バーキットリンパ腫の分子診断
Molecular Diagnosis of Burkitt's Lymphoma

S.S. Dave and Others

背景

バーキットリンパ腫とびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫では必要な治療法が異なることから,これら 2 種のリンパ腫の鑑別は重要である.われわれは,遺伝子発現プロファイルにより,バーキットリンパ腫とびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫を,高い信頼性をもって鑑別できるかどうかを検討した.

方 法

進行性リンパ腫患者 303 例の腫瘍生検標本について,遺伝子発現プロファイルを行った.また,形態学,免疫組織化学,t(8;14) c-myc 転座の検出に基づいて分類を行った.

結 果

遺伝子発現に基づいた分類は,病理学的に確認された典型的なバーキットリンパ腫症例,25 例をすべて正確に同定した.バーキットリンパ腫は,c-myc 標的遺伝子の高レベルな発現,胚中心 B 細胞遺伝子群の発現,主要組織適合遺伝子複合体クラス I 遺伝子および NF-kB 標的遺伝子の低レベルな発現によって,びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫と容易に鑑別できた.病理学的にびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫と診断された 8 つの生検標本は,バーキットリンパ腫に典型的な遺伝子発現プロファイルを有しており,現在の手法では診断が困難なバーキットリンパ腫症例であることが示唆された.バーキットリンパ腫と分子診断された 28 例では,全生存率は,低用量レジメンではなく強化化学療法レジメンを受けた患者のほうがより高かった.

結 論

遺伝子発現プロファイルは,バーキットリンパ腫とびまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫を鑑別するための,正確で定量的な手法である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 2431 - 42. )