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January 19, 2006 Vol. 354 No. 3

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HIV に対するフマル酸テノホビルジソプロキシル+エムトリシタビン+エファビレンツとジドブジン+ラミブジン+エファビレンツの比較
Tenofovir DF, Emtricitabine, and Efavirenz vs. Zidovudine, Lamivudine, and Efavirenz for HIV

J.E. Gallant and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の複製を持続的に抑制するには,患者が容易に遵守することのできる,効力のある忍容性の高い抗レトロウイルスレジメンを用いることが重要である.

方 法

過去に抗レトロウイルス療法を受けていない HIV 感染患者 517 例を対象に非盲検非劣性試験を行い,フマル酸テノホビルジソプロキシル(テノホビル DF),エムトリシタビン,エファビレンツを 1 日 1 回投与するレジメン(テノホビル-エムトリシタビン群),または合剤のジドブジン,ラミブジンの 1 日 2 回投与に加え,エファビレンツを 1 日 1 回投与するレジメン(ジドブジン-ラミブジン群)に無作為に割付けた.主要エンドポイントは,ベースラインでエファビレンツに耐性がない患者で,試験 48 週目に HIV RNA 量が 400 コピー/mL 未満である患者の割合とした.

結 果

48 週を通じて,HIV RNA 400 コピー/mL 未満の主要エンドポイントに達し,これを維持した患者は,テノホビル-エムトリシタビン群のほうがジドブジン-ラミブジン群よりも有意に多かった(84% 対 73%,差の 95%信頼区間 4~19%,P=0.002).この差は,テノホビル DF,エムトリシタビン,エファビレンツ併用レジメンの劣性を排除し,このレジメンによる奏効率が有意に高いことを示している.また,HIV RNA 量が 50 コピー/mL 未満の患者の割合(テノホビル-エムトリシタビン群 80% 対 ジドブジン-ラミブジン群 70%,差の 95%信頼区間 2~17%,P=0.02),CD4 細胞数の増加(1 mm3 当り 190 個 対 158 個,差の 95%信頼区間 9~55,P=0.002)にも有意差が認められた.ジドブジン-ラミブジン群では,テノホビル-エムトリシタビン群よりも多くの患者が有害事象を発現したため,試験薬の投与を中止した(9% 対 4%,P=0.02).K65R 変異を発現した患者はいなかった.

結 論

48 週を通じて,テノホビル DF,エムトリシタビン,エファビレンツの併用は,合剤のジドブジン,ラミブジン,エファビレンツの併用に対する非劣性の基準を満たし,また,ウイルス学的抑制,CD4 細胞の反応,試験薬投与の中止にいたる有害事象に関して優れていることが判明した.(ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT00112047)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 251 - 60. )