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February 16, 2006 Vol. 354 No. 7

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カルシウム+ビタミン D の補給と大腸癌のリスク
Calcium plus Vitamin D Supplementation and the Risk of Colorectal Cancer

J. Wactawski-Wende and Others

背景

カルシウムとビタミン D の高摂取は,疫学研究では大腸癌のリスク低下に,ポリープの予防に関する臨床試験ではポリープ再発のリスク低下に関連していることが示された.しかし,カルシウムとビタミン D の補給が大腸癌の一次予防に有益であることを示すエビデンスは,無作為化試験では得られていない.

方 法

40 ヵ所の女性の健康イニシアティブ(Women's Health Initiative)センターの閉経後女性 36,282 例を対象に,無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した.平均 7.0 年間,18,176 例に炭酸カルシウム 500 mg+ビタミン D3 200 IU を 1 日 2 回(それぞれ計 1,000 mg,400 IU)投与し,18,106 例に見た目の同じプラセボを投与した.病理学的に確認された大腸癌の発生率を副次的転帰とした.血清 25-ヒドロキシビタミン D のベースライン値をコホート内症例対照研究により評価した.

結 果

カルシウム+ビタミン D 補給群とプラセボ群とのあいだで,浸潤性大腸癌の発生率に有意差は認められず(168 例 対 154 例,ハザード比 1.08,95%信頼区間 0.86~1.34,P=0.51),また,腫瘍の特性は両群で類似していた.大腸癌のスクリーニングおよび腹部症状の頻度は両群で類似していた.ベースライン特性と治療の有意な相互作用は認められなかった.

結 論

閉経後女性において,7 年間連日のカルシウムとビタミン D の補給は,大腸癌の発生率に影響を与えなかった.大腸癌の発症までの期間は長く,また,今回の試験期間は 7 年間であったために,関連性が示されなかった可能性がある.追跡調査の継続により,この介入のより長期的な効果が評価されるであろう.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00000611)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 684 - 96. )