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February 16, 2006 Vol. 354 No. 7

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難治性喘息における腫瘍壊死因子αの役割に関するエビデンス
Evidence of a Role of Tumor Necrosis Factor a in Refractory Asthma

M.A. Berry and Others

背景

腫瘍壊死因子α(TNF-α)拮抗薬が開発され,難治性喘息におけるこのサイトカインの役割を研究することが可能となった.

方 法

難治性喘息患者 10 例,軽度~中等度の喘息患者 10 例,対照被験者 10 例において,末梢血単球上の TNF-α 活性マーカーを測定した.また,プラセボ対照二重盲検クロスオーバーパイロット研究において,難治性喘息患者を対象に,可溶性 TNF-αレセプターのエタネルセプト(etanercept)(1 回 25 mg,週 2 回)の治療効果を検討した.

結 果

難治性喘息患者では,軽度~中等度の喘息患者および対照被験者に比べて,末梢血単球の,膜結合型 TNF-α,TNF-αレセプター 1,TNF-α変換酵素の発現が多かった.臨床試験では,エタネルセプトを用いた 10 週間の治療は,プラセボと比較して,1 秒量(FEV1)を 20%減少させるために必要とされるメタコリン濃度の有意な増加(エタネルセプト群とプラセボ群のあいだの倍加濃度の変化の平均差,3.5;95%信頼区間 0.07~7.0;P=0.05),喘息関連 QOL スコアの改善(0.85 ポイント改善;95%信頼区間,7 ポイントスケールで 0.16~1.54;P=0.02),気管支拡張薬投与後の FEV1 の 0.32 L の増加(95%信頼区間 0.08~0.55,P=0.01)と関連していた.

結 論

難治性喘息患者には,TNF-α系のアップレギュレーションを示すエビデンスが認められる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00276029)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 697 - 708. )