配偶者の病気は，介護をする夫または妻の健康に影響を与える可能性がある．われわれは，高齢者において，配偶者の入院とその夫または妻の死亡リスクとの関連性を調べた．

1993 年にメディケアに加入していた夫婦 518,240 組を調べた．Cox 回帰分析および固定効果（症例―時間―対照）法で，9 年間の追跡期間中の入院と死亡を評価した．

全体で，夫 383,480 人（74%）と妻 347,269 人（67%）が 1 回以上入院し，夫 252,557 人（49%）と妻 156,004 人（30%）が死亡した．配偶者の入院後の死亡率は，配偶者の診断によって異なった．男性では，6.4%が配偶者が大腸癌で入院後 1 年以内に死亡し，6.9%が配偶者が脳卒中で入院後に，7.5%が配偶者が精神疾患で入院後に，8.6%が配偶者が痴呆（認知症）で入院後に死亡した．女性では，3.0%が配偶者が大腸癌で入院後 1 年以内に死亡し，3.7%が配偶者が脳卒中で入院後に，5.7%が配偶者が精神疾患で入院後に，5.0%が配偶者が痴呆で入院後に死亡した．測定した共変量で補正後，男性の死亡リスクは，配偶者が大腸癌で入院後有意に高いということはなかったが（ハザード比 1.02，95%信頼区間 0.95～1.09），配偶者が脳卒中（ハザード比 1.06，95%信頼区間 1.03～1.09），うっ血性心不全（ハザード比 1.12，95%信頼区間 1.07～1.16），大腿骨頸部骨折（ハザード比 1.15，95%信頼区間 1.11～1.18），精神疾患（ハザード比 1.19，95%信頼区間 1.12～1.26），痴呆（ハザード比 1.22，95%信頼区間 1.12～1.32）で入院後には有意に高かった．女性では，配偶者の入院後のさまざまな死亡リスクは同程度であった．全体として，男性では，配偶者の入院に関連した死亡リスクは，配偶者の死亡に関連した死亡リスクの 22%であり（95%信頼区間 17～27%），女性では，配偶者の入院に関連した死亡リスクは，配偶者の死亡に関連した死亡リスクの 16%であった（95%信頼区間 8～24%）．

高齢者において，配偶者の入院は死亡リスクの上昇に関連し，配偶者の病気の影響はその診断によって異なる．このような個人間の関係が健康に及ぼす影響は，患者とその家族のケアにおいて，臨床上・政策上重要である．