September 14, 2006 Vol. 355 No. 11
急性心筋梗塞におけるシロリムス溶出性ステントと非コーティングステントの比較
Sirolimus-Eluting versus Uncoated Stents in Acute Myocardial Infarction
C. Spaulding and Others
シロリムス溶出性ステントは,非コーティングステントに比べ,再狭窄率と再介入率を低下させる.ST 上昇を伴う急性心筋梗塞に対する初回経皮的冠動脈インターベンション(PCI)における,このようなステントの安全性と有効性に関するデータは限られている.
多施設共同単盲検前向き無作為化試験を実施し,ST 上昇を伴う急性心筋梗塞に対する初回 PCI において,シロリムス溶出性ステントと非コーティングステントを比較した.試験には,48 施設の患者 712 例を登録した.主要エンドポイントは,標的血管関連の死亡,再発性心筋梗塞,標的血管の血行再建術施行で定義した,術後 1 年目の標的血管不全とした.8 ヵ月後,一部施設の患者 174 例を対象として,追跡調査として血管造影の副試験を実施した.
主要エンドポイントの割合は,シロリムスステント群のほうが非コーティングステント群よりも有意に低かった(7.3% 対 14.3%,P=0.004).この差は,標的血管の血行再建術施行率の低下に起因していた(それぞれ 5.6%,13.4%;P<0.001).両群間で,死亡率(2.3%, 2.2%;P=1.00),再梗塞率(1.1%,1.4%;P=1.00),ステント血栓症の発生率(3.4%,3.6%;P=1.00)に有意差は認められなかった.新生内膜増殖の程度をステント内の遅発性血管内腔狭窄の平均値(±SD)で評価したところ,シロリムスステント群のほうが非コーティングステント群よりも有意に少なかった(0.14±0.49 mm 対 0.83±0.52 mm,P<0.001).
急性心筋梗塞患者の一部では,シロリムス溶出性ステントの使用により,1 年目の標的血管の血行再建術施行率が有意に低下した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00232830.)