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July 13, 2006 Vol. 355 No. 2

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閉経後女性におけるラロキシフェンの心血管イベントと乳癌に対する効果
Effects of Raloxifene on Cardiovascular Events and Breast Cancer in Postmenopausal Women

E. Barrett-Connor and Others

背景

選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるラロキシフェンの,冠動脈性心疾患(CHD)と乳癌に対する効果は明らかにされていない.

方 法

CHD または複数の CHD 危険因子が認められた閉経後女性 10,101 例(平均年齢 67.5 歳)を,ラロキシフェン 60 mg/日投与またはプラセボ投与に無作為に割り付け,中央値 5.6 年間追跡した.主要転帰は,冠動脈イベント(冠動脈に起因する死亡,心筋梗塞,急性冠症候群による入院)および浸潤性乳癌の 2 つとした.

結 果

ラロキシフェンは,プラセボと比較して主要な冠動脈イベントリスクに有意な効果を示さなかったものの(533 件 対 553 件;ハザード比 0.95;95%信頼区間 0.84~1.07),浸潤性乳癌リスクを減少させた(40 件 対 70 件;ハザード比 0.56;95%信頼区間 0.38~0.83;絶対リスク減少,1 年間投与を受けた女性 1,000 人当り浸潤性乳癌 1.2 件).この効果は,主にエストロゲン受容体陽性の浸潤性乳癌リスクが減少したことによるものであった.全死因死亡率と全脳卒中発症率には,割付け群によって有意差は認められなかったが,ラロキシフェンは,致死的な脳卒中リスク(59 件 対 39 件;ハザード比 1.49;95%信頼区間 1.00~2.24;絶対リスク増加,1,000 人年当り 0.7 件)と,静脈血栓塞栓症リスク(103 件 対 71 件;ハザード比 1.44;95%信頼区間 1.06~1.95;絶対リスク増加,1,000 人年当り 1.2 件)の増加と関連していた.一方,ラロキシフェンは,臨床的な椎体骨折リスクを減少させた(64 件 対 97 件;ハザード比 0.65;95%信頼区間 0.47~0.89;絶対リスク減少,1,000 人年当り 1.3 件).

結 論

ラロキシフェンには,CHD リスクに対する有意な効果はなかった.ラロキシフェンの浸潤性乳癌と椎体骨折リスクの減少に対する効果は,静脈血栓塞栓症および致死的な脳卒中のリスクの増加と比較検討すべきである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00190593)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 125 - 37. )