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November 23, 2006 Vol. 355 No. 21

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急性冠症候群患者に対するビバリルジン
Bivalirudin for Patients with Acute Coronary Syndromes

G.W. Stone and Others

背景

中等度または高リスクの急性冠症候群の患者に対する現在のガイドラインは,アスピリン,クロピドグレル,未分画ヘパリンまたは低分子ヘパリン,GP IIb/IIIa 阻害薬などによる抗血栓療法を併用した,早期の侵襲的アプローチを推奨している.われわれは,そのような患者を対象に,ビバリルジン(bivalirudin)を用いたトロンビン特異的抗凝固療法の有用性を評価した.

方 法

急性冠症候群の患者 13,819 例を,以下の 3 つの抗血栓療法レジメン:未分画ヘパリンまたはエノキサパリン+GP IIb/IIIa 阻害薬,ビバリルジン+GP IIb/IIIa 阻害薬,ビバリルジン単独のいずれかに割り付けた.主要エンドポイントは,虚血エンドポイントの複合(死亡,心筋梗塞,虚血に対する予定外の血行再建術),重大な出血,ならびに全臨床転帰(虚血イベントの複合または重大な出血の組み合せと定義)とした.

結 果

ビバリルジン+GP IIb/IIIa 阻害薬群は,ヘパリン+GP IIb/IIIa 阻害薬群と比較して,30 日の時点での虚血エンドポイントの複合(それぞれ 7.7%と7.3%),重大な出血(5.3%と5.7%),全臨床エンドポイント(11.8%と11.7%)の割合について非劣性を示した.ビバリルジン単独群は,ヘパリン+GP IIb/IIIa 阻害薬群と比較して,虚血エンドポイントの複合の割合については非劣性を示し(それぞれ 7.8%と7.3%,P=0.32,相対リスク 1.08,95%信頼区間 [CI] 0.93~1.24),重大な出血(3.0% 対 5.7%,P<0.001,相対リスク 0.53,95% CI 0.43~0.65)および全臨床エンドポイント(10.1% 対 11.7%,P=0.02,相対リスク 0.86,95% CI 0.77~0.97)の比率については有意に低かった.

結 論

中等度または高リスクの急性冠症候群で,GP IIb/IIIa 阻害薬を用いた侵襲的治療を受ける患者において,ビバリルジンを併用した場合の虚血や出血の割合は,ヘパリンを併用した場合と同程度であった.ビバリルジン単独では,虚血の割合は同程度であったが,出血の割合は有意に低かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00093158)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 2203 - 16. )