December 14, 2006 Vol. 355 No. 24
非小細胞肺癌に対するパクリタキセル+カルボプラチンのみの投与とベバシズマブとの併用投与の比較
Paclitaxel–Carboplatin Alone or with Bevacizumab for Non–Small-Cell Lung Cancer
A. Sandler and Others
血管内皮増殖因子に対するモノクローナル抗体であるベバシズマブ(bevacizumab)は,さまざまな癌の患者に対して有用性が示されている.
2001 年 7 月~2004 年 4 月に,米国東部癌共同研究グループ(Eastern Cooperative Oncology Group;ECOG)は,再発または進行した非小細胞肺癌(IIIB 期または IV 期)の患者 878 例を対象に無作為化試験を行い,パクリタキセル+カルボプラチンによる化学療法のみを行う群(444 例)と,パクリタキセル+カルボプラチンに加えベバシズマブを投与する群(434 例)に割り付けた.化学療法は 3 週間ごとに 6 サイクル施行し,ベバシズマブの投与は,疾患進行が著明になるまで,または毒性作用が耐えられなくなるまで 3 週間ごとに行った.扁平上皮癌,脳転移,臨床的に重大な喀血あるいは臓器機能や全身状態の低下(ECOG PS>1)が認められる患者は除外した.主要エンドポイントは全生存期間とした.
生存期間の中央値は,化学療法+ベバシズマブ群では 12.3 ヵ月間であったのに対し,化学療法単独群では 10.3 ヵ月間であった(死亡に対するハザード比 0.79,P=0.003).両群での無増悪生存期間の中央値は,それぞれ 6.2 ヵ月間と 4.5 ヵ月間であり(疾患進行に対するハザード比 0.66,P<0.001),奏効率 35%と 15%に相当した(P<0.001).臨床的に重大な出血の発生率はそれぞれ 4.4%と 0.7%であった(P<0.001).化学療法+ベバシズマブ群では治療関連死が 15 例あり,うち 5 例は肺出血により死亡した.
特定の非小細胞肺癌患者の治療において,パクリタキセル+カルボプラチンにベバシズマブを加えることは,治療関連死が増加するリスクはあるものの,生存に対して有意な利益がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00021060)