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December 28, 2006 Vol. 355 No. 26

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QT 延長症候群における女性での多発と伝達の偏り
Female Predominance and Transmission Distortion in the Long-QT Syndrome

M. Imboden and Others

背景

先天性 QT 延長症候群は,心室性不整脈や突然死をきたす疾患である.QT 延長症候群でもっともよくみられる病型は 1 型と 2 型であり,それぞれカリウムチャネル遺伝子 KCNQ1KCNH2 の変異により生じる.QT 延長症候群は常染色体優性遺伝であるが,女性で多発する場合が多く,女性では不整脈に対する感受性が高いことが原因と考えられている.この有害形質が偏って伝達する可能性について検討した.

方 法

QT 延長症候群 1 型のある 484 の核家族と QT 延長症候群 2 型のある 269 の核家族を対象に,本症候群の対立遺伝子の分布について調査した.各家族には,遺伝子型が完全に特定された子孫が含まれた.これらの家族は,QT 延長症候群に関する欧州の 5 つの照会機関で募集した.変異の分離,性比,親からの伝達について,単独確認で補正後に解析した.

結 果

QT 延長症候群 1 型の変異を有する女性と QT 延長症候群 2 型の変異を有する男性および女性の子孫では,典型的なメンデルの遺伝法則は認められなかった.子孫 1,534 例のうち,遺伝子に変異が認められた子孫の割合は,メンデルの遺伝法則による予測よりも有意に高く,870 例(57%)が変異保有者,664 例(43%)が変異非保有者であった(P<0.001).変異保有者 870 例では,QT 延長症候群の対立遺伝子は,女性の子孫(476 例 [55%])に対して男性の子孫(394 例 [45%])よりも高い確率で伝達した(P=0.005).また,QT 延長症候群は母親から娘への伝達が高いことが確認され,これはおそらく,常染色体優性遺伝の QT 延長症候群の女性患者が多いことの一因になっていると考えられる.

結 論

QT 延長症候群を引き起す変異対立遺伝子は,陽性選択により伝達に偏りが生じ,罹患家族の子孫で変異保有者の割合が高くなる.QT 延長症候群の対立遺伝子は,男性の子孫よりも女性の子孫に高い頻度で伝達する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 2744 - 51. )