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August 10, 2006 Vol. 355 No. 6

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脳卒中または一過性脳虚血発作後の高用量アトルバスタチン投与
High-Dose Atorvastatin after Stroke or Transient Ischemic Attack

The Stroke Prevention by Aggressive Reduction in Cholesterol Levels (SPARCL) Investigators

背景

スタチンは,心疾患リスクが上昇している患者の脳卒中発生率を低下させるが,脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)を最近発症した患者の,その後の脳卒中リスクを減少させるかどうかについてはまだ明らかにされていない.

方 法

試験登録前 1~6 ヵ月以内に脳卒中または TIA を発症し,LDL コレステロール値が 100~190 mg/dL(2.6~4.9 mmol/L)で,冠動脈性心疾患の既往のない患者 4,731 例を,アトルバスタチン 80 mg/日またはプラセボを二重盲検で投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,割付け後最初に起きた非致死的または致死的な脳卒中とした.

結 果

試験中の LDL コレステロール値の平均値は,アトルバスタチン群で 73 mg/dL(1.9 mmol/L),プラセボ群で 129 mg/dL(3.3 mmol/L)であった.中央値 4.9 年の追跡調査期間中に,アトルバスタチン群の 265 例(11.2%)とプラセボ群の 311 例(13.1%)が,致死的または非致死的な脳卒中を発症した(5 年間の絶対リスク減少率 2.2%,補正ハザード比 0.84,95%信頼区間 0.71~0.99,P=0.03,未補正の P=0.05).アトルバスタチン群で虚血性脳卒中 218 例と出血性脳卒中 55 例が発生したのに対し,プラセボ群では虚血性脳卒中 274 例と出血性脳卒中 33 例が発生した.重大な心血管イベントリスクの 5 年間の絶対減少率は 3.5%であった(ハザード比 0.80,95%信頼区間 0.69~0.92,P=0.002).全死亡率は同等であり,アトルバスタチン群で 216 例,プラセボ群で 211 例が死亡した(P=0.98).重篤な有害事象の発生率についても同様であった.肝酵素値の上昇は,アトルバスタチン群でより多く認められた.

結 論

脳卒中または TIA を最近発症し,冠動脈性心疾患の既往がない患者では,アトルバスタチン 80 mg/日の投与により,脳卒中および心血管イベントの全発生率が減少したが,出血性脳卒中の発生率はわずかに上昇した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00147602)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 549 - 59. )