The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 10, 2006 Vol. 355 No. 6

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

早期非小細胞肺癌における予後予測を改善するゲノム的手法
A Genomic Strategy to Refine Prognosis in Early-Stage Non-Small-Cell Lung Cancer

A. Potti and Others

背景

臨床試験から,非小細胞肺癌(NSCLC)では,病期 IA を除く病期 IB,II,IIA の患者において,補助化学療法が有効であることが認められている.この分類体系は,個々の患者の予後予測因子としてはおそらく不正確である.事実,病期 IA の肺癌患者のおよそ 25%は術後に再発することから,このサブグループの中で,より効果の高い治療法を要する患者を特定する必要があると考えられる.

方 法

早期 NSCLC 患者 89 例のコホートにおいて,再発リスクを予測する遺伝子発現プロファイルを特定した(肺メタジーンモデル).それぞれ独立した,American College of Surgeons Oncology Group(ACOSOG)の Z0030 試験の患者 25 例のグループと,Cancer and Leukemia Group B(CALGB)の 9761 試験の患者 84 例のグループを用いて,この予測因子を検証した.

結 果

肺メタジーンモデルによる個々の患者の再発予測は,臨床的な予後予測因子よりも有意に正確であり,早期病期の NSCLC 全例で一貫していた.ACOSOG Z0030 試験および CALGB 9761 試験のコホートに適用したところ,肺メタジーンモデルによる予測精度は,それぞれ全体で 72%と 79%であった.また,この予測因子により,再発リスクが高く補助化学療法によりもっとも高い効果が得られると考えられる IA 期肺癌患者のサブグループも特定された.

結 論

肺メタジーンモデルは,患者の疾患再発リスクの予測を改善し,理論的には,早期 NSCLC における補助化学療法の適応の判断を変えうるメカニズムとなる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 570 - 80. )