The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 10, 2006 Vol. 355 No. 6

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

インターロイキン-1β 阻害に反応する新生児期発症多臓器系炎症性疾患
Neonatal-Onset Multisystem Inflammatory Disease Responsive to Interleukin-1β Inhibition

R. Goldbach-Mansky and Others

背景

新生児期に発症する多臓器系炎症性疾患は,発熱,蕁麻疹,無菌性髄膜炎,変形性関節症,聴力損失,精神遅滞を特徴とする疾患である.多くの患者は,炎症を制御する蛋白,クリオピリン(cryopyrin)をコードする寒冷誘発性自己炎症性症候群 1(CIAS1)遺伝子に変異を有している.

方 法

新生児期発症多臓器系炎症性疾患患者 18 例(12 例は CIAS1 変異が同定されている)を選び,インターロイキン-1 受容体拮抗薬であるアナキンラ(anakinra)を投与した(1 日 1~2 mg/kg 体重,皮下投与).11 例は 3 ヵ月の時点で投与を中止し,再燃するまで経過を観察した.主要エンドポイントは,ベースラインから 3 ヵ月の時点まで,および 3 ヵ月の時点から疾患再燃までの,日々の記録における症状スコアの変化,血清中のアミロイド A 値と C 反応性蛋白値の変化,ならびに赤血球沈降速度の変化などとした.

結 果

18 例全例がアナキンラに速やかに反応し,蕁麻疹が消失した.日々の記録のスコアは改善し(P<0.001),また,血清アミロイド A 値(中央値 174 mg/L から 8 mg/L へ),C 反応性蛋白値(中央値 5.29 mg/dL から 0.34 mg/dL へ),赤血球沈降速度が 3 ヵ月の時点で低下し(すべて P<0.001),6 ヵ月の時点でも低値のままであった.MRI で,蝸牛および軟膜の病変がベースラインと比較して改善していることが示された.アナキンラの投与を中止した場合,一様に数日内に再発がみられたが,投与再開により症状は速やかに改善した.薬剤に関連した重篤な有害事象はなかった.

結 論

新生児期に発症する多臓器系炎症性疾患の患者では,CIAS1 変異の有無にかかわらず,連日のアナキンラ投与により臨床徴候ならびに検査所見が改善した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00069329)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 581 - 92. )