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March 8, 2007 Vol. 356 No. 10

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薬剤溶出ステントの無作為化臨床試験におけるステント血栓症
Stent Thrombosis in Randomized Clinical Trials of Drug-Eluting Stents

L. Mauri and Others

背景

薬剤溶出ステントの臨床試験で用いられているステント血栓症の定義は限定的であり,一貫した形では用いられていない.

方 法

シロリムス(sirolimus)溶出ステントで治療された患者 878 例,パクリタキセル溶出ステントで治療された患者 1,400 例,ベアメタルステントで治療された患者 2,267 例を対象とした無作為化試験に対して,学術研究コンソーシアム(Academic Research Consortium;ARC)が作成したステント血栓症の階層分類を適用した.その後,4 年間の追跡データをプールした.全イベントは,独立した臨床イベント委員会により判定された.

結 果

それぞれの試験で用いられたプロトコールの定義に従ったステント血栓症の累積発生率は,シロリムス溶出ステント群 1.2%に対しベアメタルステント群 0.6%(P=0.20,95%信頼区間 [CI] -0.4~1.5),パクリタキセル溶出ステント群 1.3%に対しベアメタルステント群 0.8%(P=0.24,95% CI -0.3~1.4)であった.ARC の定義によるステント血栓症の確定例あるいはほぼ確実例の発生率は,シロリムス溶出ステント群 1.5%に対しベアメタルステント群 1.7%(P=0.70,95% CI -1.5~1.0),パクリタキセル溶出ステント群 1.8%に対しベアメタルステント群 1.4%(P=0.52,95% CI -0.7~1.4)であった.ステント留置後 1~4 年で発生するステント血栓症の確定例あるいはほぼ確実例の発生率は,シロリムス溶出ステント群 0.9%に対しベアメタルステント群 0.4%,パクリタキセル溶出ステント群 0.9%に対しベアメタルステント群 0.6%であった.

結 論

発生率の小さな差異を検出する力は限られていたものの,無作為化臨床試験におけるステント血栓症の発生率には,薬剤溶出ステントを留置された患者とベアメタルステントを留置された患者で有意差はみられなかった.

本論文(10.1056/NEJMoa067731)は,2007 年 2 月 12 日 www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 1020 - 9. )