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March 8, 2007 Vol. 356 No. 10

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シロリムス溶出ステントとベアメタルステントを比較した 14 件の試験の解析
Analysis of 14 Trials Comparing Sirolimus-Eluting Stents with Bare-Metal Stents

A. Kastrati and Others

背景

シロリムス(sirolimus)溶出ステントを用いた治療の,ベアメタルステントと比較した場合の長期的効果は確立されていない.

方 法

シロリムス溶出ステントとベアメタルステントを比較した 14 件の無作為化試験に登録された患者 4,958 例を対象に,個人データの解析を行った(平均追跡期間 12.1~58.9 ヵ月).主要エンドポイントは全死因死亡とした.その他の評価項目は,ステント血栓症,死亡・心筋梗塞の複合エンドポイント,死亡・心筋梗塞・再介入の複合エンドポイントとした.

結 果

シロリムス溶出ステント群では,ベアメタルステント群と比較して,全死亡リスク(ハザード比 1.03,95%信頼区間 [CI] 0.80~1.30),死亡・心筋梗塞の複合リスク(ハザード比 0.97,95% CI 0.81~1.16)に有意差はなかった.シロリムス溶出ステントの使用により,死亡・心筋梗塞・再介入の複合リスクに有意な減少がみられた(ハザード比 0.43,95% CI 0.34~0.54).ステント血栓症の全リスクには,シロリムス溶出ステント群とベアメタルステント群のあいだで有意差はなかった(ハザード比 1.09,95% CI 0.64~1.86).しかし,1 年後のステント血栓症のリスクには,シロリムス溶出ステントに関連してわずかに増加する所見が認められた.

結 論

シロリムス溶出ステントを使用しても,ベアメタルステントと比べて全生存期間および心筋梗塞のない生存期間に対する有意な効果はみられない.シロリムス溶出ステントの留置後は,再介入の必要性が持続的に低下する.シロリムス溶出ステントに関連するステント血栓症のリスクは,ベアメタルステントでみられるリスクと少なくとも同程度である.

本論文(10.1056/NEJMoa067484)は,2007 年 2 月 12 日 www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 1030 - 9. )