コンピュータ支援検出の使用がマンモグラフィ検診の性能に与える影響
Influence of Computer-Aided Detection on Performance of Screening Mammography
J.J. Fenton and Others
コンピュータ支援検出は,マンモグラム上の疑わしい所見を発見し,放射線科医を支援するものである.1998 年に米国食品医薬品局(FDA)により認可されて以来,この技術は臨床に広く普及しているが,読影の精度に関する効果は不明である.
1998~2002 年に 3 つの州の 43 ヵ所のマンモグラフィ施設において,施設でのコンピュータ支援検出の使用と,マンモグラフィ検診の性能との関連を検討した.検診後 1 年以内に乳癌の診断を受けた女性 2,351 例を含む,222,135 例の完全なデータ(計 429,345 件のマンモグラム)を入手した.コンピュータ支援検出を使用した場合としなかった場合について,マンモグラフィ検診の特異度,感度,陽性反応適中度に加え,生検施行率,乳癌発見率,ROC 曲線下面積により測定した全体的な精度を算出した.
研究期間中,7 ヵ所(16%)の施設がコンピュータ支援検出を採用していた.実施前と実施後で,診断の特異度は 90.2%から 87.2%に低下し(P<0.001),陽性反応適中度は 4.1%から 3.2%に低下し(P=0.01),生検施行率は 19.7%上昇した(P<0.001).感度は実施前の 80.4%から実施後の 84.0%へと上昇したが,有意な上昇ではなかった(P=0.32).癌の発見率(浸潤性乳癌と非浸潤性乳管癌を含む)における変化は有意ではなかった(検診マンモグラム 1,000 件当り,実施前 4.15 件,実施後 4.20 件;P=0.90).43 ヵ所すべての施設から入手したデータを解析した結果,コンピュータ支援検出の使用は,使用しなかった場合に比べて全体的な精度が有意に低いことと関連することが示された(ROC 曲線下面積 0.871 対 0.919,P=0.005).
コンピュータ支援検出の使用は,検診マンモグラムの読影の精度の低下と関連する.コンピュータ支援検出の使用に伴う生検施行率の増加と,浸潤性乳癌発見率の改善とのあいだに明らかな関連は認められない.