AA アミロイドーシスにおける腎疾患治療のためのエプロディセート
Eprodisate for the Treatment of Renal Disease in AA Amyloidosis
L.M. Dember and Others
アミロイド A(AA)アミロイドーシスは,血清アミロイド A 蛋白(SAA)の蛋白分解物がアミロイド線維として組織に沈着したときに発現する慢性炎症性疾患の合併症である.腎臓におけるアミロイド沈着は,腎機能に進行性の障害をもたらす.エプロディセート(eprodisate)は,アミロイド原性蛋白とグリコサミノグリカンの相互作用を妨げ,それによってアミロイド線維の重合と組織における線維の沈着を抑制するようデザインされた,新規クラスの化合物の 1 つである.
腎障害をきたした AA アミロイドーシス患者におけるエプロディセートの有効性と安全性の評価を目的として,多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.27 ヵ所の医療センターの患者 183 例を,24 ヵ月間にわたりエプロディセートを投与する群とプラセボ群に無作為に割り付けた.主要複合エンドポイントは,腎機能の評価または死亡とした.次の項目のいずれかが生じた場合に,疾患を「悪化」に分類した:血清クレアチニン値の倍増,クレアチニンクリアランスの 50%以上の低下,末期腎不全への進行,死亡.
24 ヵ月の時点で,エプロディセート投与群 89 例中 24 例(27%)と,プラセボ群 94 例中 38 例(40%)で疾患が悪化していた(P=0.06).すなわち,エプロディセート投与に伴う疾患悪化のハザード比は 0.58 であった(95%信頼区間 0.37~0.93,P=0.02).1 年当りのクレアチニンクリアランス低下率の平均値は,体表面積 1.73 m2 当りエプロディセート群 10.9 mL/分,プラセボ群 15.6 mL/分であった(P=0.02).エプロディセートは,末期腎不全への進行(ハザード比 0.54,P=0.20)および死亡リスク(ハザード比 0.95,P=0.94)に対して,有意な効果を示さなかった.有害事象の発生率は,両群で同程度であった.
エプロディセートは,AA アミロイドーシスにおける腎機能の低下を遅延させる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00035334)