くすぶり型(無症候性)骨髄腫の臨床経過と予後
Clinical Course and Prognosis of Smoldering(Asymptomatic)Multiple Myeloma
R.A. Kyle and Others
くすぶり型(無症候性)骨髄腫は,無症候性の形質細胞増殖性疾患であり,症候性多発性骨髄腫やアミロイドーシスへの進行のリスクが高い.この疾患の進行および転帰の予後因子は明らかにされていない.
メイヨ・クリニック(Mayo Clinic)のコンピュータデータベースを検索し,1970~95 年にくすぶり型骨髄腫の診断に関する国際骨髄腫ワーキンググループ(International Myeloma Working Group)の基準を満たした全患者の医療記録を検討した.骨髄穿刺液と生検検体を調べ,疾患の全経過について患者の追跡調査を行った.
26 年間に,276 例がくすぶり型骨髄腫の基準を満たした.追跡した累積 2,131 人年のあいだに,163 例(59%)が症候性多発性骨髄腫またはアミロイドーシスを発症した.全体的な進行のリスクは,最初の 5 年間は 10%/年,次の 5 年間は約 3%/年,最後の 10 年間は 1%/年であり,進行の累積確率は 15 年の時点で 73%であった.診断時における疾患進行の重大な危険因子は,血清 M 蛋白の量および型,尿中 L 鎖の存在,骨髄病変の程度およびパターン,疾患に関与しない免疫グロブリンの減少などであった.骨髄中の形質細胞の割合と血清 M 蛋白量を組み合せることで,3 つの異なる予後群によるリスク層別化モデルが作成された.
くすぶり型骨髄腫から症候性疾患への進行リスクは,診断時における骨髄中の形質細胞の割合と血清 M 蛋白量に関連する.