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February 22, 2007 Vol. 356 No. 8

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サルメテロール,プロピオン酸フルチカゾン,および慢性閉塞性肺疾患における生存
Salmeterol and Fluticasone Propionate and Survival in Chronic Obstructive Pulmonary Disease

P.M.A. Calverley and Others

背景

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療には長時間作用型 β 刺激薬と吸入副腎皮質ステロイドが用いられるが,その生存に対する効果は不明である.

方 法

3 年間の無作為化二重盲検試験を実施し,単一の吸入器によるサルメテロール 50 μg+プロピオン酸フルチカゾン 500 μg の 1 日 2 回投与(併用レジメン)を,プラセボ,サルメテロール単独,プロピオン酸フルチカゾン単独と比較した.主要転帰は,併用レジメンとプラセボで比較した全死因死亡とした.悪化の頻度,健康状態,スパイロメトリー値についても評価を行った.

結 果

有効性の評価に関する患者集団 6,112 例のうち,875 例が試験治療開始から 3 年以内に死亡した.全死因死亡率は,併用群で 12.6%,プラセボ群で 15.2%,サルメテロール群で 13.5%,フルチカゾン群で 16.0%であった.併用群における死亡のハザード比は,プラセボ群と比較して 0.825(95%信頼区間 0.681~1.002;P=0.052,中間解析に対して補正)であり,差は 2.6 パーセントポイントで,17.5%の死亡リスクの減少に相当した.サルメテロール単独群やプロピオン酸フルチカゾン単独群の死亡率と,プラセボ群の死亡率とのあいだに有意差はなかった.プラセボと比べて,併用レジメンにより,年間の悪化率が 1.13 から 0.85 に減少し,健康状態とスパイロメトリー値が改善した(プラセボとの比較すべてについて P<0.001).眼や骨への副作用の発生率に差はなかった.肺炎が有害事象として報告される確率は,プロピオン酸フルチカゾンを含む治療を受けた患者(併用群で 19.6%,フルチカゾン群で 18.3%)で,プラセボ群(12.3%)よりも高かった(前者 2 つの治療とプラセボの比較について P<0.001).

結 論

併用投与を受けた COPD 患者における全死因死亡の減少は,事前に規定した統計的有意水準には達しなかった.しかし,これらの患者では,その他すべての転帰において有意な利益が得られた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00268216)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 775 - 89. )