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March 1, 2007 Vol. 356 No. 9

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歯周炎治療と血管内皮機能
Treatment of Periodontitis and Endothelial Function

M.S. Tonetti and Others

背景

全身性炎症は血管機能を障害する恐れがある.疫学データから,歯周炎と心血管疾患が関連する可能性が示唆されている.

方 法

重度の歯周炎患者 120 例を,地域ベースの歯周ケア(59 例)と集中的な歯周治療(61 例)に無作為に割り付けた.治療前,および治療 1,7,30,60,180 日後に,血管内皮機能(血流依存性血管拡張反応)を血流時における上腕動脈直径の測定により評価し,炎症性バイオマーカーと,凝固および血管内皮活性化のマーカーを評価した.

結 果

治療 24 時間後の時点で,集中治療群では,対照治療群と比べて血流依存性血管拡張反応が有意に低く(絶対差 1.4%,95%信頼区間 [CI] 0.5~2.3,P=0.002),C 反応性蛋白,インターロイキン-6,血管内皮活性化のマーカーである可溶性 E セレクチン,およびフォンビルブランド因子の値は有意に高かった(すべての比較について P<0.05).しかし,治療 60 日後および 180 日後には,集中治療群では対照治療群と比べて血流依存性血管拡張反応が高く,可溶性 E セレクチンの血清濃度が低かった(60 日後の血流依存性血管拡張反応の絶対差 0.9%,95% CI 0.1~1.7,P=0.02;180 日後の差 2.0%,95% CI 1.2~2.8,P<0.001).改善の程度は,歯周病評価の改善と関連していた(Spearman 順位相関による r=0.29,P=0.003).両群のいずれにも重篤な有害事象は認められず,心血管イベントも発生しなかった.

結 論

集中的な歯周治療により,急性かつ短期の全身性炎症および血管内皮機能障害が生じた.しかし,治療 6 ヵ月後には,口腔衛生がもたらす効果に関連して血管内皮機能に改善がみられた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 911 - 20. )