September 20, 2007 Vol. 357 No. 12
関節リウマチのリスク遺伝子座としての TRAF1-C5 ― ゲノムワイド研究
TRAF1-C5 as a Risk Locus for Rheumatoid Arthritis ― A Genomewide Study
R.M. Plenge and Others
関節リウマチは複雑な遺伝形式をもつ.HLA-DRB1 と PTPN22 は十分に確立された感受性遺伝子座であるが,最近,軽度リスクを付与する別の遺伝子が同定された.ゲノムワイド関連解析を実施し,関節リウマチのリスク増加と関連する新たな遺伝子座の同定を行った.
関節リウマチ患者 1,522 例とマッチさせた対照者 1,850 例を含めた症例対照研究において,317,503 個の一塩基多型(SNP)の遺伝子型決定を行った.患者は,抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体の血清反応が陽性であった.North American Rheumatoid Arthritis Consortium(NARAC)と Swedish Epidemiological Investigation of Rheumatoid Arthritis(EIRA)の 2 つのデータセットから標本を入手した.品質管理検査を通過した 297,086 個の SNP に関する NARAC と EIRA の結果を,Cochran-Mantel-Haenszel 層別解析を用いて統合した.抗 CCP 抗体陽性の関節リウマチ患者の独立セット(NARAC 485 例,EIRA 512 例)と対照者(NARAC 1,282 例,EIRA 495 例)において,関節リウマチと有意な関連(P<1×10-8)を示す SNP の遺伝子型を決定した.
検討したすべての標本で,関節リウマチと,主要組織適合複合体の遺伝子座の変異,PTPN22 の変異,第 9 染色体上の SNP(rs3761847)の変異とのあいだに関連が認められ,rs3761847 ではオッズ比が 1.32(95%信頼区間 1.23~1.42,P=4×10-14)であった.この SNP は,慢性炎症に関連する 2 つの遺伝子,TRAF1(腫瘍壊死因子受容体関連因子 1 をコード)および C5(補体第 5 成分をコード)と連鎖不均衡の関係にある.
第 9 染色体上の TRAF1-C5 遺伝子座で高頻度にみられる遺伝子変異は,抗 CCP 抗体陽性の関節リウマチのリスク増加と関連している.
本論文(10.1056/NEJMoa073491)は,2007 年 9 月 5 日に www.nejm.org で発表された.