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November 15, 2007 Vol. 357 No. 20

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重症喘息患者の肺および循環血中のキチナーゼ様蛋白質
A Chitinase-like Protein in the Lung and Circulation of Patients with Severe Asthma

G.L. Chupp and Others

背景

進化的に保存された 18-グリコシル加水分解酵素ファミリーには,真のキチナーゼと,酵素活性をもたないキチナーゼ様蛋白質とが含まれる.最近,哺乳類酸性キチナーゼと喘息の動物モデルとが関連することが示されている.類縁のキチナーゼ様蛋白質である YKL-40(ヒト軟骨糖蛋白 39 [HCgp-39],chitinase 3-like 1 とも呼ばれる)は,血清中で容易に測定が可能であるが,喘息との関連性はこれまで検討されていない.

方 法

エール大学,パリ大学,ウィスコンシン大学で募集した 3 つの喘息患者コホートと,周辺地域住民の対照者において,血清 YKL-40 濃度を定量した.パリのコホートでは,免疫組織化学検査および形態の定量的分析を用いて,肺における YKL-40 の発現部位を評価した.YKL-40 の血清濃度,肺濃度が高い患者の臨床的特徴についても評価した.

結 果

血清 YKL-40 濃度は,対照者に比べ,喘息患者で有意に高かった.パリのコホートでは,YKL-40 の肺濃度が高く,循環血中 YKL-40 濃度(r=0.55,P<0.001)および気道リモデリング(上皮下基底膜厚として測定)(r=0.51,P=0.003)と相関を示した.血清 YKL-40 濃度は,3 つのコホートすべてにおいて喘息の重症度と正の相関を示し,1 秒量と逆相関を示した.YKL-40 濃度の高い患者では,濃度の低い患者に比べ,吸入器の応急使用頻度が有意に高く,経口コルチコステロイドの使用量が有意に多く,入院率が有意に高かった.

結 論

喘息患者群では,血清および肺における YKL-40 量が増加しており,患者の血清および肺におけるキチナーゼの発現と喘息の重症度が関連していることが示された.喘息患者の YKL-40 を分析することで,喘息におけるこの分子の病因的役割あるいは監視的役割が明らかになると考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 2016 - 27. )