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November 29, 2007 Vol. 357 No. 22

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高齢患者における卵円孔開存と潜因性脳卒中
Patent Foramen Ovale and Cryptogenic Stroke in Older Patients

M. Handke and Others

背景

これまでの研究で,55 歳未満の患者における卵円孔開存の存在と潜因性脳卒中には関連があることが示されている.この関連は,55 歳以上の患者ではまだ確立されていない.

方 法

脳卒中を発症した 503 例の連続症例を前向きに検討し,潜因性脳卒中患者 227 例と原因が特定されている脳卒中の対照患者 276 例を比較した.経食道心エコー法を用いて,全例における卵円孔開存の有病率と,心房中隔瘤を伴う卵円孔開存の有病率を調べた.さらに,若年患者(55 歳未満)131 例と高齢患者(55 歳以上)372 例とでデータを比較した.

結 果

卵円孔開存の有病率は,潜因性脳卒中患者のほうが,原因が特定されている脳卒中患者よりも有意に高く,これは,若年患者群(43.9% 対 14.3%,オッズ比 4.70,95%信頼区間 [CI] 1.89~11.68,P<0.001)と高齢患者群(28.3% 対 11.9%,オッズ比 2.92,95% CI 1.70~5.01,P<0.001)のどちらにも当てはまった.心房中隔瘤が併存する卵円孔開存の存在と潜因性脳卒中との関連は,原因が特定されている脳卒中との関連よりもさらに強く,これもまた,若年患者群(13.4% 対 2.0%,オッズ比 7.36,95% CI 1.01~326.60,P=0.049)と高齢患者群(15.2% 対 4.4%,オッズ比 3.88,95% CI 1.78~8.46,P<0.001)のどちらにも当てはまった.年齢,プラーク厚,冠動脈疾患および高血圧の有無で補正した多変量解析では,卵円孔開存の存在は,若年群(オッズ比 3.70,95% CI 1.42~9.65,P=0.008)と高齢群(オッズ比 3.00,95% CI 1.73~5.23,P<0.001)の双方において,潜因性脳卒中と独立に関連することが示された.

結 論

卵円孔開存の存在と潜因性脳卒中との関連は,高齢患者と若年患者の双方で認められる.これらのデータから,奇異性塞栓症が両年齢群における脳卒中の原因であることが示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 2262 - 8. )