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December 6, 2007 Vol. 357 No. 23

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HIV 感染患者における成長ホルモン放出因子の代謝への効果
Metabolic Effects of a Growth Hormone-Releasing Factor in Patients with HIV

J. Falutz and Others

背景

内臓脂肪組織は,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者の多くにおいて,抗レトロウイルス療法中に蓄積する.この作用は,心血管リスクの上昇と関連している.われわれは,内臓脂肪蓄積を減少させる目的で,成長ホルモン放出因子アナログであるテサモレリン(tesamorelin)の使用について評価した.

方 法

腹腔内脂肪が蓄積した HIV 感染患者 412 例(86%が男性)を,26 週間にわたりテサモレリン 2 mg を連日皮下投与する群と,プラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,CT 上の内臓脂肪組織のベースラインからの変化率とした.副次的エンドポイントは,トリグリセリド値,総コレステロール/高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール比,インスリン様成長因子 I(IGF-I)値,および自己評価によるボディイメージなどとした.糖血症評価には血糖値とインスリン値を含めた.

結 果

内臓脂肪組織は,テサモレリン群で 15.2%減少し,プラセボ群で 5.0%増加した.トリグリセリド値は,テサモレリン群で 50 mg/dL 低下,プラセボ群で 9 mg/dL 上昇し,総コレステロール/HDL コレステロール比は,テサモレリン群で 0.31 低下,プラセボ群で 0.21 上昇した(すべての比較について P<0.001).総コレステロール値と HDL コレステロール値も,テサモレリン群で有意に改善した.IGF-I 値は,テサモレリン群で 81.0%上昇し,プラセボ群で 5.0%低下した(P<0.001).有害事象には 2 群間で有意差はなかったが,有害事象のために試験から脱落した患者はテサモレリン群のほうが多かった.糖血症評価において有意差は認められなかった.

結 論

26 週間のテサモレリンの連日投与により,内臓脂肪が減少し,脂質プロファイルが改善した.この効果は,治療に関連する中心性脂肪蓄積のみられる HIV 感染患者に有益である可能性がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00123253)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 2359 - 70. )