The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 19, 2007 Vol. 357 No. 3

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

セルトリズマブ・ペゴルによるクローン病の維持療法
Maintenance Therapy with Certolizumab Pegol for Crohn's Disease

S. Schreiber and Others

背景

セルトリズマブ・ペゴル(certolizumab pegol)は,腫瘍壊死因子 α に高い結合親和性を示し,T 細胞や単球のアポトーシスを誘発しないペグ化ヒト Fab' フラグメントである.

方 法

無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,中等度から重度のクローン病の成人患者を対象に,セルトリズマブ・ペゴルによる維持療法の有効性を評価した.導入療法として,0 週目,2 週目,4 週目にセルトリズマブ・ペゴル 400 mg を皮下投与した.6 週目に臨床効果(クローン病活動性指数 [CDAI] がベースラインスコアから 100 ポイント以上低下した場合と定義)が認められた患者を,C 反応性蛋白のベースライン値に従って層別化し,セルトリズマブ・ペゴル 400 mg またはプラセボを 4 週間ごとに 24 週目まで投与する群に無作為に割り付け,26 週目まで追跡した.

結 果

導入療法により 6 週目の時点で効果が認められた患者(668 例中 428 例 [64%])のうち,ベースラインの C 反応性蛋白値が 10 mg/L 以上の患者で効果が 26 週目まで持続した(主要エンドポイント)のは,セルトリズマブ・ペゴル投与患者で 62%(プラセボ投与患者では 34%,P<0.001),intention-to-treat 集団のセルトリズマブ・ペゴル投与患者で 63%であった(プラセボ投与患者では 36%,P<0.001).導入療法において 6 週目の時点で効果がみられた患者のうち,26 週の時点で寛解(CDAI スコア 150 以下と定義)を達成したのは,セルトリズマブ・ペゴル群の 48%,プラセボ群の 29%であった(P<0.001).また,セルトリズマブ・ペゴルの有効性は,グルココルチコイドや免疫抑制薬の服用の有無,過去のインフリキシマブ投与の有無にかかわらず認められた.感染性の重篤な有害事象(肺結核 1 例を含む)は,セルトリズマブ・ペゴル群の 3%とプラセボ群の 1%未満で発生した.抗核抗体はセルトリズマブ群の 8%で出現し,セルトリズマブ・ペゴルに対する抗体は導入療法を受けた全患者の 9%で出現した.

結 論

中等度から重度のクローン病で,セルトリズマブ・ペゴル 400 mg による導入療法が奏効した患者では,セルトリズマブ・ペゴルの投与を継続するほうが,プラセボに切り替えるよりも 26 週の時点で効果の維持や寛解を認める可能性が高かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00152425)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 239 - 50. )