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December 13, 2007 Vol. 357 No. 24

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QRS 幅の狭い心不全に対する心臓再同期療法
Cardiac-Resynchronization Therapy in Heart Failure with Narrow QRS Complexes

J.F. Beshai and Others

背景

心不全患者における心臓再同期療法(CRT)の適応には,QRS 幅の拡大(120 msec 以上)が,その他の機能的基準に加えて含まれている.QRS 幅の狭い患者の中には,心エコーで左室の機械的同期不全の所見が認められる例があり,CRT が有益となる可能性がある.

方 法

植込み型除細動器の標準的な適応を有する 172 例を登録した.患者に CRT 装置の植込みを行い,6 ヵ月間にわたり CRT 群と対照群(CRT なし)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,6 ヵ月の時点での心肺運動負荷試験において,1 分あたりの最大酸素消費量が 1.0 mL/kg 体重以上増加する患者の割合とした.

結 果

6 ヵ月の時点で主要エンドポイントに達した患者の割合は,CRT 群と対照群とで有意な差はなかった(それぞれ 46%,41%).QRS 幅 120 msec 以上としてあらかじめ規定したサブグループについては,CRT 群で最大酸素消費量が増加したが(P=0.02),QRS 幅が 120 msec 未満のサブグループでは変化しなかった(P=0.45).経静脈的治療を要する心不全イベントが,CRT 群の 14 例(16.1%)で計 24 件,対照群の 19 例(22.3%)で計 41 件生じたが,その差は有意ではなかった.

結 論

CRT により,中等度~重度の心不全患者における最大酸素消費量は改善しなかった.このことは,CRT はQRS 幅の狭い心不全患者に有益ではない可能性があることを示す証拠となる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00132977)

本論文(10.1056/NEJMoa0706695)は,2007 年 11 月 6 日にwww.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 2461 - 71. )