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December 20, 2007 Vol. 357 No. 25

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頭頸部の扁平上皮癌におけるTP53 変異と生存期間
TP53 Mutations and Survival in Squamous-Cell Carcinoma of the Head and Neck

M.L. Poeta and Others

背景

TP53 遺伝子の突然変異の結果として起こる腫瘍抑制蛋白 p53 の機能欠損は,癌細胞においてもっとも高率にみられる遺伝子変化の 1 つである.われわれは,頭頸部の扁平上皮癌患者における TP53 変異と生存期間について評価した.

方 法

根治を目的とした外科的治療を受けた頭頸部の扁平上皮癌患者 560 例を,7 年間の多施設共同前向き研究に登録した.腫瘍サンプルの DNA における TP53 変異の解析には,Affymetrix 社製 p53 チップと,Surveyor DNA エンドヌクレアーゼおよび変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)法を用いた.p53ミDNA 複合体の結晶構造から予測される蛋白構造の乱れの程度に応じて,変異を「破壊的」と「非破壊的」の 2 つのグループに分類した.TP53 変異の状態を臨床転帰と比較した.

結 果

TP53 変異は 420 例中 224 例(53.3%)の腫瘍で確認された.野生型 TP53 に比べ,TP53 のあらゆる突然変異の存在は,全生存期間の短縮と関連を示し(死亡のハザード比 1.4,95%信頼区間 [CI] 1.1~1.8,P=0.009),破壊的変異とはさらに強い関連を示し(ハザード比 1.7,95% CI 1.3~2.4,P<0.001),非破壊的変異とは有意な関連を示さなかった(ハザード比 1.2,95% CI 0.9~1.7,P=0.16).多変量解析において,TP53 の破壊的変化は,TP53 変異のない場合と比較して,生存期間の短縮と有意かつ独立に関連することが認められた(ハザード比 1.7,95% CI 1.2~2.4,P=0.003).

結 論

腫瘍 DNA における TP53 の破壊的変異は,頭頸部の扁平上皮癌に対する外科的治療後の生存期間の短縮と関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 2552 - 61. )