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January 10, 2008 Vol. 358 No. 2

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敗血症性ショック患者に対するヒドロコルチゾン療法
Hydrocortisone Therapy for Patients with Septic Shock

C.L. Sprung and Others

背景

ヒドロコルチゾンは敗血症性ショックを起こした患者に広く使用されているが,報告されている生存への利益は,輸液と昇圧薬による蘇生後も低血圧が続き,コルチコトロピン投与後も血清コルチゾール値が適切に上昇しない患者に限定されている.

方 法

この多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験では,患者 251 例をヒドロコルチゾン 50 mg の静脈内投与,248 例をプラセボ投与に割り付け,6 時間ごとの投与を 5 日間行い,その後の 6 日間で用量を漸減した.主要転帰は,28 日目の時点におけるコルチコトロピン検査に反応しなかった患者の死亡とした.

結 果

試験に参加した 499 例中 233 例(46.7%)がコルチコトロピンに反応しなかった(ヒドロコルチゾン群 125 例,プラセボ群 108 例).28 日目の時点で,コルチコトロピンに反応しなかった両群の患者の死亡率(ヒドロコルチゾン群の 39.2%,プラセボ群の 36.1%;P=0.69)と,コルチコトロピンに反応した患者の死亡率(ヒドロコルチゾン群の 28.8%,プラセボ群の 28.7%;P=1.00)に有意差はみられなかった.また,28 日目の時点で,ヒドロコルチゾン群の 251 例中 86 例(34.3%)とプラセボ群の 248 例中 78 例(31.5%)が死亡していた(P=0.51).ヒドロコルチゾン群はプラセボ群よりも速やかにショックから回復したが,新たな敗血症や敗血症性ショックなど,より多くの重感染エピソードが発現した.

結 論

敗血症性ショック患者に対してヒドロコルチゾンを投与しても,患者全体およびコルチコトロピンに反応しなかった患者のいずれにおいても,生存率とショックからの回復は改善しなかった.しかし,ヒドロコルチゾンによりショックから回復した患者では,ショックからの回復が速まった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00147004)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 111 - 24. )