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February 14, 2008 Vol. 358 No. 7

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再発寛解型多発性硬化症におけるリツキシマブによる B 細胞の消失
B-Cell Depletion with Rituximab in Relapsing-Remitting Multiple Sclerosis

S.L. Hauser and Others

背景

多発性硬化症の発症には B リンパ球が関与することを示すエビデンスが増えており,B リンパ球が治療標的となる可能性がある.モノクローナル抗体であるリツキシマブは,CD20+B リンパ球を選択的に標的とし,消失させる.

方 法

再発寛解型多発性硬化症患者 104 例を対象に,48 週間の第 2 相二重盲検試験を行い,69 例をリツキシマブ 1,000 mg 静脈内投与に,35 例をプラセボ投与に割り付け,1 日目と 15 日目に投与した.主要エンドポイントは,12,16,20,24 週目の時点で脳の MRI で検出されたガドリニウム増強病変の総数とした.臨床転帰は,安全性,再発患者の割合,年間再発率などとした.

結 果

プラセボ群と比較してリツキシマブ群では,12,16,20,24 週目の時点でのガドリニウム増強病変の総数(P<0.001),および同時期の新規のガドリニウム増強病変の総数(P<0.001)が減少した.これらの結果は 48 週間持続した(P<0.001).リツキシマブ群の再発患者の割合は,プラセボ群と比較して,24 週目(14.5% 対 34.3%,P=0.02),および 48 週目(20.3% 対 40.0%,P=0.04)の時点で有意に減少した.初回投与後 24 時間以内に有害事象を発現した患者は,リツキシマブ群のほうがプラセボ群よりも多かったが,それらの多くは軽度~中等度の有害事象であった.2 回目の投与後の有害事象の数は,両群で同等であった.

結 論

リツキシマブの単独投与コースにより,48 週間にわたり,炎症性の脳病変と臨床的再発が減少した.この試験のデザインは,長期安全性の評価や,頻度の低い有害事象の検出を行うものではなかった.今回のデータから,再発寛解型多発性硬化症の病態生理に B 細胞が関与するというエビデンスが得られた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00097188)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 676 - 88. )