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February 14, 2008 Vol. 358 No. 7

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下肢血管形成術における再狭窄防止のためのパクリタキセルの局所投与
Local Delivery of Paclitaxel to Inhibit Restenosis during Angioplasty of the Leg

G. Tepe and Others

背景

薬剤溶出性ステントにより冠動脈の再狭窄は減少するが,末梢動脈におけるその有効性は臨床試験では証明されていない.われわれは,下肢血管形成術におけるパクリタキセル被覆血管形成バルーンの使用と,血管造影剤に溶解したパクリタキセルについて検討した.

方 法

小規模な多施設共同試験において,大腿膝窩動脈に狭窄または閉塞を有する患者 154 例を,パクリタキセルで被覆された標準的バルーンカテーテルによる治療を受ける群,被覆されていないバルーンと造影剤に溶解したパクリタキセルを併用する群,被覆されていないバルーンによる治療を受け,パクリタキセルを使用しない群(対照群)のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,6 ヵ月の時点における遠隔期の血管内腔狭小化(late lumen loss)とした.

結 果

患者の平均(±SD)年齢は 68±8 歳で,24%が喫煙者,49%が糖尿病であった.病変の 27%は完全閉塞,36%は再狭窄病変であった.平均病変長は 7.4±6.5 cm であった.ベースライン特性に群間で有意差はみられなかった.パクリタキセル被覆バルーンに起因する有害事象はみられなかった.6 ヵ月の時点における遠隔期血管内腔狭小化の平均値は,対照群では 1.7±1.8 mm であったのに対し,パクリタキセル被覆バルーン群では 0.4±1.2 mm(P<0.001),パクリタキセル含有造影剤群では 2.2±1.6 mm(P=0.11)であった.6 ヵ月の時点における標的病変の血行再建術の施行率は,対照群で 54 例中 20 例(37%),パクリタキセル被覆バルーン群で 48 例中 2 例(4%)(対照群との比較で P<0.001),パクリタキセル含有造影剤群で 52 例中 15 例(29%)(対照群との比較で P=0.41)であった.24 ヵ月の時点では,それぞれ 54 例中 28 例(52%),48 例中 7 例(15%),52 例中 21 例(40%)と増加した.

結 論

大腿膝窩動脈疾患に対する経皮的治療におけるパクリタキセル被覆血管形成バルーンの使用は,遠隔期血管内腔狭小化および標的病変血行再建術施行の有意な減少と関連していた.パクリタキセル含有造影剤の使用による有意な利益は認められなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00156624)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 689 - 99. )