October 16, 2008 Vol. 359 No. 16
ナイジェリアにおける麻痺型ポリオに対する免疫付与の有効性
Effectiveness of Immunization against Paralytic Poliomyelitis in Nigeria
H.E. Jenkins and Others
ナイジェリアでは,新たに承認された 1 価経口ポリオワクチンならびにワクチンデリバリーの新技術が導入されて以来,麻痺型ポリオの症例数が減少している.発症数減少におけるこれらのワクチンと接種率向上の相対的寄与を理解することは,今後の計画に不可欠である.
2001~07 年の急性弛緩麻痺 27,379 例が記録されているナイジェリアの国家監視データベースから同定した灰白髄炎(ポリオ)の症例と,マッチさせた対照が受けた接種回数をもとに,1 価経口ポリオワクチン 1 型と 3 価経口ポリオワクチンの有効性を評価した.ワクチンの接種率とワクチンによる免疫の評価は,データベースに記載されている,ポリオウイルスが原因ではない麻痺を有する小児が受けた接種回数をもとに行った.
ウイルス 1 型による麻痺型ポリオに対する接種 1 回あたりの有効性は, 1 価経口ポリオワクチン 1 型で 67%(95%信頼区間 [CI] 39~82),3 価経口ポリオワクチンで 16%(95%CI 10~21)と推定され,ウイルス 3 型による麻痺型ポリオに対する 3 価経口ポリオワクチンの接種 1 回あたりの有効性は 18%(95%CI 9~26)と推定された.試験期間中に症例の大半が報告されたナイジェリア北西部では,ワクチンを 1 回以上接種する率が 59%から 78%に上昇した.2005~07 年のあいだで,5 歳未満の小児におけるワクチンによる免疫レベルは,2 倍以上の 56%に上昇した.
1 価経口ポリオワクチン 1 型の高い有効性(3 価経口ポリオワクチンの 4 倍)と接種率が中等度に上昇したことによって,ナイジェリア北部では,ワクチンにより付与される血清型 1 型に対する免疫が大幅に増加した.感染者のいるナイジェリアの各地域では,国内でポリオウイルス根絶状態が維持されているほかの地域と同等の免疫レベルに達するため,接種率をさらに高める必要がある.