The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 6, 2008 Vol. 359 No. 19

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

エストロゲンを服用していない閉経後女性の性欲低下に対するテストステロン投与
Testosterone for Low Libido in Postmenopausal Women Not Taking Estrogen

S.R. Davis and Others

背景

エストロゲン療法を受けていない閉経後女性の性的欲求低下障害に対する,テストステロン投与の有効性と安全性については明らかにされていない.

方 法

性的欲求低下障害を有する女性 814 例を対象に 52 週間の二重盲検プラセボ対照試験を実施し,テストステロン 150 μg/日または 300 μg/日のパッチを用いた治療を行う群と,プラセボ群に無作為に割り付けた.有効性を 24 週まで,安全性を 52 週にわたって評価し,参加者のサブグループをさらに 1 年間追跡した.主要エンドポイントは,ベースラインから 24 週までの 4 週間(21~24 週)における,満足のいく性的エピソードの頻度の変化とした.

結 果

24 週の時点で,4 週間における満足のいく性的エピソードの頻度の増加は,テストステロン 300 μg/日群のほうがプラセボ群より有意に大きかったが(増加は 2.1 回 対 0.7 回,P<0.001),150 μg/日群では有意な増加はみられなかった(1.2 回,P=0.11).プラセボと比較して,テストステロン群では両群とも有意な性的欲求の増加(300 μg/日群で P<0.001,150 μg/日群で P=0.04)と,苦痛の減少(300 μg/日群で P<0.001,150 μg/日群で P=0.04)がみられた.アンドロゲン作用による有害事象(主として望ましくない発毛)の発生率は,テストステロン 300 μg/日群のほうがプラセボ群より高かった(30.0% 対 23.1%).テストステロンの投与を受けた 4 例が乳癌と診断された(プラセボ群では乳癌と診断された例はなかった).この 4 例のうち,1 例は試験期間の最初の 4 ヵ月のあいだに乳癌と診断され,1 例は無作為化前に症状を呈していたことが事後的に判明した.

結 論

エストロゲン療法を受けていない閉経後女性において,テストステロン 300 μg/日のパッチを用いた治療により,性機能に関して,それほど大きくはないが意味のある改善がみられた.乳房への影響など,テストステロン投与による長期的な影響は依然として不明である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00131495)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2005 - 17. )