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December 11, 2008 Vol. 359 No. 24

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パプアニューギニアの小児における抗マラリア薬併用療法に関する試験
A Trial of Combination Antimalarial Therapies in Children from Papua New Guinea

H.A. Karunajeewa and Others

背景

パプアニューギニアのような国では,複数の原虫種による深刻な感染が年間を通してみられるため,マラリアの管理は困難である.

方 法

2005 年 4 月~2007 年 7 月,熱帯熱マラリアまたは三日熱マラリアに罹患した 0.5~5 歳のパプアニューギニアの小児を対象とし,従来のクロロキン+スルファドキシン+ピリメタミン療法と,アーテスネート+スルファドキシン+ピリメタミン療法,ジヒドロアルテミシニン(dihydroartemisinin)+ピペラキン(piperaquine)療法,アーテメーター(artemether)+ルメファントリン(lumefantrine)療法の 4 つの療法に関する無作為化非盲検並行群間比較試験を実施した.主要エンドポイントは,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて寄生虫 DNA における多型遺伝子座の遺伝子型を決定し,それにより同定された再感染を補正したあとの,熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に対する治療開始後 42 日目の適切な臨床的・寄生虫学的奏効率とした.副次的エンドポイントは,PCR を用いた遺伝子型決定による補正を行わない三日熱マラリア原虫(P. vivax)に対する 42 日目の適切な臨床的・寄生虫学的奏効率とした.

結 果

発熱がみられる小児 2,802 例にスクリーニングを実施したところ,482 例に熱帯熱マラリア,195 例に三日熱マラリアが認められた.P. falciparum に対する適切な臨床的・寄生虫学的奏効率がもっとも高かったのは,アーテメーター+ルメファントリン療法群(95.2%)であり,クロロキン+スルファドキシン+ピリメタミン療法群で 81.5%(P=0.003),アーテスネート+スルファドキシン+ピリメタミン療法群で 85.4%(P=0.02),ジヒドロアルテミシニン+ピペラキン療法群で 88.0%(P=0.06)であった.P. vivax に対する適切な臨床的・寄生虫学的奏効率は,ジヒドロアルテミシニン+ピペラキン療法群(69.4%)でほかの 3 群の 2 倍以上高かった.in vitro において,局所の P. falciparum 分離株の増殖を 50%抑制したクロロキンとピペラキンの濃度に,有意な相関がみられた(P<0.001).発疹の発現率は,アーテスネート+スルファドキシン+ピリメタミン療法群とジヒドロアルテミシニン+ピペラキン療法群で,クロロキン+スルファドキシン+ピリメタミン療法群より高かった(両群の比較について P=0.004).

結 論

P. falciparum に対してはアーテメーター+ルメファントリン療法,P. vivax に対してはジヒドロアルテミシニン+ピペラキン療法がもっとも有効なレジメンであった.ジヒドロアルテミシニン+ピペラキン療法群では,P. falciparum に対する治療失敗率が比較的高かったが,これはクロロキン・ピペラキン間の交差耐性を反映している可能性がある.(Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号:ACTRN12605000550606)

本論文(10.1056/NEJMoa0804915)は,2008 年 12 月 8 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2545 - 57. )