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December 18, 2008 Vol. 359 No. 25

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院外心停止に対する蘇生時の血栓溶解療法
Thrombolysis during Resuscitation for Out-of-Hospital Cardiac Arrest

B.W. Bottiger and Others

背景

院外心停止を起こした患者の約 70%では,急性心筋梗塞や肺塞栓症が原因である.したがって,心肺蘇生時の血栓溶解療法により,生存率が改善する可能性がある.

方 法

多施設共同二重盲検試験において,目撃者のいる院外心停止成人患者を対象に,心肺蘇生時にテネクテプラーゼ(tenecteplase)を投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.ヘパリンやアスピリンによる補助療法は行わなかった.主要エンドポイントは 30 日生存率とし,副次的エンドポイントは入院,心拍再開,24 時間生存率,生存退院,神経学的転帰とした.

結 果

最初の 443 例のデータを盲検下で検討後,データ・安全性モニタリング委員会より収縮不全例は生存率が低いため登録を中止するよう勧告されたため,プロトコールが修正された.その後,計 1,050 例が登録された時点で,無益性のため試験は早期に中止された.テネクテプラーゼ,プラセボはともに 525 例に投与された.両群の臨床特性は同等であった.主要エンドポイントである 30 日生存率については,テネクテプラーゼ群とプラセボ群のあいだに有意差は認められなかった(14.7% 対 17.0%,P=0.36,相対リスク 0.87,95%信頼区間 0.65~1.15).また,副次的エンドポイントである入院(53.5% 対 55.0%,P=0.67),心拍再開(55.0% 対 54.6%,P=0.96),24 時間生存率(30.6% 対 33.3%,P=0.39),生存退院(15.1% 対 17.5%,P=0.33),神経学的転帰(P=0.69)についても,群間で有意差は認められなかった.テネクテプラーゼ群では頭蓋内出血の発生頻度が高かった.

結 論

院外心停止に対する二次救命処置時に,補助的抗血栓療法を行わずにテネクテプラーゼを投与しても,プラセボと比較して転帰の改善はみられなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00157261)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2651 - 62. )