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July 24, 2008 Vol. 359 No. 4

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薬剤耐性 HIV-1 感染に対するラルテグラビルと至適基礎療法の併用
Raltegravir with Optimized Background Therapy for Resistant HIV-1 Infection

R.T. Steigbigel and Others

背景

ラルテグラビル(raltegravir,MK-0518)は,既存の抗レトロウイルス薬に感受性または耐性を示すヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)に対して活性を有する HIV-1 インテグラーゼ阻害薬である.

方 法

抗レトロウイルス療法が失敗した 3 クラス耐性の HIV-1 に感染した患者を対象として,至適基礎療法併用下におけるラルテグラビルの安全性と有効性をプラセボと比較・検討する 2 つの同一試験を異なる地域で行った.患者を,ラルテグラビル群とプラセボ群に 2:1 の比率で無作為に割り付けた.

結 果

両試験を合わせて,無作為化された患者 703 例中 699 例(ラルテグラビル群 462 例,プラセボ群 237 例)が試験薬の投与を受けた.699 例中 17 例(2.4%)は 16 週より前に試験を中止した.試験を中止した 17 例のうち,13 例で試験中止と試験治療とが関連していた.内訳は,ラルテグラビル群 462 例中 7 例(1.5%),プラセボ群 237 例中 6 例(2.5%)であった.2 つの試験の結果は一貫していた.試験を終了できなかった例を治療失敗とみなすと,16 週の時点で HIV-1 RNA 量 400 コピー/mL 未満となったのは,ラルテグラビル群で 458 例中 355 例(77.5%)であったのに対し,プラセボ群では 236 例中 99 例(41.9%)であった(P<0.001).HIV-1 RNA 量が 50 コピー/mL 未満まで抑制されたのは,16 週の時点ではラルテグラビル群 61.8%,プラセボ群 34.7%で,48 週の時点ではラルテグラビル群 62.1%,プラセボ群 32.9%であった(両比較について P<0.001).追跡調査期間の長さについて補正しなかった場合,ラルテグラビル群の 3.5%,プラセボ群の 1.7%で癌が検出された.薬物に関連した有害事象の全発現頻度は,ラルテグラビル群とプラセボ群で同程度であった.

結 論

治療選択肢の限られた HIV 感染患者に対して,ラルテグラビルと至適基礎療法の併用により,至適基礎療法単独と比較して 48 週以上にわたる優れたウイルス抑制効果が得られた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00293267,NCT00293254)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 339 - 54. )