予防接種拒否,義務的予防接種,ワクチン予防可能疾患のリスク
Vaccine Refusal, Mandatory Immunization, and the Risks of Vaccine-Preventable Diseases
S.B. Omer and Others
感染症やそれに伴う合併症を予防するにあたり,予防接種は,医師が用いることのできる手段の中でもっとも有効性が高い.しかし,予防接種の成功は,予防接種の受け入れ率と接種率の高さにかかっている.米国では,予防接種の拒否が増加しており,そうした拒否にはワクチン予防可能疾患の集団発生につながる地理的偏りがみられるというエビデンスが存在する.就学時の予防接種要件を免除された児童(予防接種拒否の指標)は,麻疹と百日咳のリスクが高く,予防接種の適応年齢に満たない児や,医学的理由により接種できない児,予防接種を受けたにもかかわらず十分な免疫応答が得られなかった児に感染させる可能性がある.医師は,保護者が児に予防接種を受けさせるかどうかを判断する際に重要な役割を果たす.また,医療提供者は,予防接種を受けていない児の保護者をはじめとする多くの保護者にとって,予防接種に関する主な情報源とみなされている.予防接種を拒否する保護者に対して,医療を提供する関係を断ったり,断とうと考える医師もいるが,米国小児科学会生命倫理委員会(American Academy of Pediatrics Committee on Bioethics)はこれを戒め,医師は児に予防接種を受けさせることへの保護者の懸念に耳を傾け,予防接種を受けないことのリスクについて話し合うことを推奨している.