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May 14, 2009 Vol. 360 No. 20

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心房細動患者に対するアスピリンとクロピドグレルの併用療法の有効性
Effect of Clopidogrel Added to Aspirin in Patients with Atrial Fibrillation

The ACTIVE Investigators

背景

心房細動患者の脳卒中リスクはビタミン K 拮抗薬により低下するが,多くの患者はその適応にはならないと考えられ,代わりにアスピリンを服用している.アスピリンにクロピドグレルを追加投与することにより,心房細動患者の血管イベントのリスクが減少するという仮説について検討した.

方 法

心房細動で脳卒中のリスクが高く,ビタミン K 拮抗薬療法が適応とならない患者 7,554 例を,アスピリンに加え,1 日 1 回クロピドグレル(75 mg)を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,脳卒中,心筋梗塞,非中枢神経系塞栓症,血管系の原因による死亡の複合とした.

結 果

追跡期間中央値 3.6 年で,主要血管イベントはクロピドグレル群 832 例(年 6.8%),プラセボ群 924 例(年 7.6%)で発生した(クロピドグレル群の相対リスク 0.89,95%信頼区間 [CI] 0.81~0.98,P=0.01).この差は主に,クロピドグレルにより脳卒中の発症率が低下したことによるものであった.脳卒中は,クロピドグレル群 296 例(年 2.4%),プラセボ群 408 例(年 3.3%)で発症した(相対リスク 0.72,95% CI 0.62~0.83,P<0.001).心筋梗塞は,クロピドグレル群 90 例(年 0.7%),プラセボ群 115 例(年 0.9%)で発症した(相対リスク 0.78,95% CI 0.59~1.03,P=0.08).重大な出血は,クロピドグレル群 251 例(年 2.0%),プラセボ群 162 例(年 1.3%)で発生した(相対リスク 1.57,95% CI 1.29~1.92,P<0.001).

結 論

ビタミン K 拮抗薬療法が適応とならない心房細動患者では,アスピリンにクロピドグレルを追加投与することにより,主要血管イベント,とくに脳卒中のリスクが減少したが,重大な出血のリスクは増加した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00249873)

本論文(10.1056/NEJMoa0901301)は,2009 年 3 月 31 日に NEJM.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 2066 - 78. )