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June 18, 2009 Vol. 360 No. 25

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米国におけるトリプル再集合体ブタインフルエンザ A(H1)のヒト感染 ― 2005~2009 年
Triple-Reassortant Swine Influenza A(H1)in Humans in the United States, 2005-2009

V. Shinde and Others

背景

トリ・ヒト・ブタのインフルエンザウイルスの遺伝子を有するトリプル再集合体ブタインフルエンザ A(H1)ウイルスは,1990 年代後半に北米で出現し,ブタの風土病となった.

方 法

2005 年 12 月から,今回ブタ由来インフルエンザ A(H1N1)がヒトで流行する直前の 2009 年 2 月にかけて,米国疾病対策予防センター(CDC)に報告された,トリプル再集合体ブタインフルエンザ A(H1)ウイルスのヒトへの散発感染の最初の 11 例の臨床像を報告する.これらのデータは,米国内のインフルエンザに関する週報と,公衆衛生当局・家畜衛生当局による合同症例調査より入手した.

結 果

11 例の年齢中央値は 10 歳(生後 16 ヵ月~48 歳)で,4 例に基礎疾患があった.9 例にブタへの曝露歴があり,5 例はブタに直接接触し,4 例はブタがいる場所を訪れたが接触はしていなかった.ほかの 1 例では,ヒト-ヒト伝播が疑われた.潜伏期間(もっとも近い曝露から発症まで)は,3~9 日であった.10 例では,発熱(90%),咳嗽(100%),頭痛(60%),下痢(30%)などの臨床症状がみられた.全血球計算値が入手できた 4 例では,2 例で白血球減少,1 例でリンパ球減少,1 例で血小板減少が認められた.4 例が入院し,このうち 2 例が侵襲的人工換気を受けた.4 例がオセルタミビルの投与を受け,11 例全例が快復した.

結 論

2005 年 12 月から今回ブタ由来インフルエンザウイルスがヒトで流行する直前までに,米国でブタに曝露された人々のあいだで,トリプル再集合体ブタインフルエンザ A(H1)ウイルスの散発感染が認められた.全例が快復したが,それまで健康であった患者を含む一部の患者では,重度の下気道疾患や,インフルエンザとしてはまれな下痢などの徴候がみられた.

本論文(10.1056/NEJMoa0903812)は,NEJM.org で 2009 年 5 月 7 日に発表され,2009 年 5 月 22 日に更新された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 2616 - 25. )